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氷川丸は、1930年に建造された12,000トン級の大型貨客船であり、太平洋戦争中には日本海軍の運用により病院船としても活躍した歴史ある船です。現在、国の重要文化財に指定され現存・保存されるとともに、横浜市の山下公園で博物館船として一般公開もされています。本記事では、氷川丸の歴史に関心があり、その見学レビューを探している方に向けて、氷川丸の歴史や魅力、そして見学のポイントを、私が実際に見学したとき見学レビューをもとに詳しく紹介します。
まず、氷川丸の見学前に知っておきたい情報として、氷川丸の歴史について触れ、その建造の地である横浜船渠(現:三菱重工業横浜製作所)についても解説します。次に、氷川丸の何がすごいのか、そして氷川丸が怖いと言われる理由、、氷川丸のレストランについて現在の営業状況などについても紹介します。
さらに、氷川丸の内部見学、入場料金、見学所要時間、氷川丸へのアクセスと現地での推奨される滞在時間、氷川丸の船内などでの撮影許可は必要かどうかについても詳しく説明し、最後に、私が実際に氷川丸の内部見学をしたときの見学レビューを紹介します。この記事を参考にして、氷川丸の魅力を存分に楽しんでください。
- 本記事で説明するポイント
- ・氷川丸の歴史とその建造の地について
・氷川丸の技術的な優秀性や戦時中のエピソード
・氷川丸の見学ポイントや内部見学での見どころ
・氷川丸の入場料、見学所要時間、撮影許可などの実用的な情報
氷川丸の見学前に知っておきたい歴史と魅力

横浜市の山下公園で博物館船として一般公開されている氷川丸について、ここでは氷川丸の歴史、氷川丸建造の地、氷川丸の何がすごいか、氷川丸が怖いと言われる理由、そして氷川丸のレストランについて解説し、氷川丸の歴史と魅力について紹介します。氷川丸を見学する前に、ぜひ知っておいて欲しい情報です。
日本郵船氷川丸: 公式サイト
氷川丸の歴史
氷川丸は、三菱グループの日本郵船が建造した12,000トン級の大型貨客船です。氷川丸の建造は、1928年に横浜船渠(現在の横浜みなとみらい付近)で始まり、1930年に竣工となりました。氷川丸は、氷川丸級貨客船の一番艦であり、姉妹艦には同二番艦の「日枝丸」、同三番艦の「平安丸」があります。
氷川丸が竣工して初めての航海は1930年5月13日で、神戸からシアトルまでの航路でした。太平洋戦争中には大日本帝国海軍が特設病院船として徴用し、多くの傷病兵を運び、戦後は復員船としても活躍し、数多くの引揚者を日本に運びました。戦時中の活躍としては、姉妹艦である日枝丸と平安丸がともに特設潜水母艦として改装、徴用されたのは有名です(日枝丸と平安丸はともに戦没)。
戦後の氷川丸は再びシアトル航路の客船として復帰しましたが、1960年に運航を終了。その後、氷川丸は横浜港に係留され、「観光船」(ホテル)として利用されました。2003年には横浜市の有形文化財に指定され、続いて2007年には経済産業省の近代化産業遺産として認定されました。
2008年4月25日、氷川丸の竣工から78年目に合わせ、氷川丸は横浜市の山下公園岸壁に係留され、「日本郵船氷川丸」の名称で博物館船として一般公開され、2016年には国の重要文化財にも指定されて現在に至っています。
氷川丸建造の地

氷川丸建造の地は、現在の「横浜みなとみらい」にあたります。「横浜みなとみらい」には横浜船渠株式会社(現在の三菱重工業横浜製作所)という大型船舶や軍艦などを建造する造船所がありました。横浜船渠株式会社には、第1号ドック、第2号ドック、第3号ドックと3つのドックがあり、氷川丸はそのうち 第2号ドックで建造されました。この 第2号ドックは、上の写真にあるとおり現在「ドックヤードガーデン」として一般開放されており、ドック内を自由に立ち入って見学できるようになっています(入場無料)。
横浜船渠株式会社は、当時の日本郵船が大株主であり、経営不振に陥っていた川崎造船所に代わって氷川丸の建造を担当したそうです。横浜船渠株式会社での建造は、当時の最新技術を駆使し、外板の厚さや水密区画構造など、安全性と耐久性を重視した設計が施されました。有事には航空母艦に改装転用できるような設計がなされていたそうです。
氷川丸の何がすごい?
氷川丸のすごさは、その歴史的価値と技術的な優秀性にあります。まず、氷川丸は1930年に竣工した大型貨客船であり、国内で建造され現存する貨客船としては最古のものとなります。太平洋戦争中に病院船として活躍し、戦後も復員船として多くの引揚者を運んだ経歴をもつ現存船舶としても国内唯一です。このように、氷川丸は日本の海運史において重要な役割を果たしてきた貴重な歴史的資料でもあります。
また、技術的な面でも氷川丸は優れています。外板の厚さや水密区画構造など、安全性と耐久性を重視した設計が施されています。機関にはデンマークのB&W製ディーゼルエンジンを搭載し、経済性と航続距離の両方を兼ね備えています。さらに、内装にはアールデコ様式のインテリアや最新の救命設備など、当時の最先端技術が取り入れられています。このように、氷川丸は日本の近代工業技術に関する貴重な資料でもあります。
氷川丸は怖い?

よく「氷川丸は怖い」という話を聞きます。たぶんその理由は、戦時中に病院船として運用されていたので、氷川丸の中で亡くなられた兵隊さんが多くいらっしゃるはずだから、ということなのかもしれません。氷川丸は「心霊スポット」だという人もいるようです。その真偽のほどはわかりませんが、私が実際に氷川丸に乗船して見学に行ったときには、「怖い」といった印象は全くありませんでした。
一方、氷川丸はラッキーな幸運艦であるという見方もできそうです。太平洋戦争中、氷川丸は病院船として運用される際にも、敵の攻撃や機雷による被害を受けることがありましたが、幸いにも沈没することはありませんでした。
例えば、スラバヤ港外やルオット水道、シンガポール海峡で機雷に触れて損傷を受けたことがあります。また、マニラ湾を航行中にはグラマン戦闘機の機銃掃射を受け、船体に多数の弾痕が残りました。
他の姉妹艦である日枝丸と平安丸は、ともに特設潜水母艦として運用され、敵の攻撃によって沈没していることと比較すると、氷川丸は「怖い」というよりもラッキーな幸運艦であるとも言えそうです。
氷川丸のレストラン

氷川丸には、「一等食堂」など船内のレストランがあって見学ができます。以前は氷川丸の船内にあるレストランで飲食の提供も行っていました。氷川丸のレストランでは、船内の雰囲気を楽しみながら食事をすることができ、特に、船の歴史を感じさせる内装や、窓から見える横浜港の景色が魅力でした。しかし残念ながら、現在は飲食の提供はなく、見学のみ可能となっています。
氷川丸を見学する際の食事は、山下公園の周辺にあるレストランを利用するか、あるいは横浜中華街が徒歩10分の距離にあるので、横浜中華街まで足を延ばして食事をするのがおすすめです。
歴史ある氷川丸の見学情報と見学レビュー

次にここでは、歴史ある氷川丸の見学を考えている方に向けての情報として、氷川丸の内部見学、入場料金、見学所要時間、氷川丸へのアクセスと現地での推奨される滞在時間、氷川丸の船内などでの撮影許可は必要かどうか、そして最後に、私が実際に氷川丸の内部見学をしたときの見学レビューを紹介します。
氷川丸の内部見学

氷川丸は外から眺めるだけでなく、その内部に入って見学するのがおすすめです。氷川丸の内部見学では、船内のさまざまなエリアを巡ることができます。基本的な見学ルートは上の案内図のとおり、まずBデッキのエントランスから入り、一等食堂(氷川丸のレストラン)などを見学します。次に、階段を上がってAデッキに移動し、一等客室や展示室を見学、更に階段を上がって、N1N2N3デッキに移動し、ここでは船長室や操舵室などを見学します。
次に、階段を下ってCデッキとDデッキまで移動し、三等客室や機関室、展示室などを見学します。そして出口はCデッキにあります。見学ルートは後戻りも可能なので、気になるところに戻ってもう一度じっくり見学することが可能です。このように、氷川丸の内部見学は、豪華な内装や構造、高度な技術に興味がある方にとって非常に魅力的な体験です。
氷川丸の入場料金
氷川丸の入場料金は、一般的に手頃な価格で設定されています。具体的には、一般の入場料は300円です。シニア(65歳以上)は200円、中学生・高校生は100円、小学生も100円で入場できます。また、障がい者手帳や特定疾患医療受給者証を提示すると、本人と介護者1名が無料で入場できます。
入場料は現金払いのみとなっており、クレジットカードや電子マネーは利用できませんので、事前に現金を用意しておくと良いでしょう。また、他の施設との相互割引サービスもあります。例えば、横浜ランドマークタワー69階展望フロア「スカイガーデン」や「横浜人形の家」との相互割引があり、入館券の半券を提示すると割引が受けられます。このように、氷川丸の入場料金はリーズナブルで、家族連れや観光客にも利用しやすい設定となっています。
氷川丸の見学所要時間
氷川丸の見学所要時間は、上で紹介した基本的な見学ルートに従うと、約1時間から1時間半程度です。Aデッキにある「オープンデッキ」の開放時にここでくつろいだり、船内で開催されるイベントに参加する場合などは、プラスアルファの所要時間が必要となります。
また、実施時期は不定期ですが、船内見学でガイドツアーに参加することもできます。ガイドツアーでは、詳しい説明を聞きながら回ることができ、より深く氷川丸の歴史や技術について学ぶことができます。ガイドツアーに参加する場合も、見学所要時間にはプラスアルファの所要時間を考えたほうがいいでしょう。ガイドツアーの実施日については公式サイトでご確認ください。
氷川丸へのアクセスと推奨する滞在時間

氷川丸へのアクセスは非常に便利です。最寄り駅は、みなとみらい線の元町・中華街駅で、4番出口から徒歩約5分の距離にあります。駅を出て山下公園方面に向かうと、すぐに氷川丸が見えてきます。
また、横浜駅や桜木町駅からは横浜市営バス26系統を利用し、「山下公園前」停留所で下車することもできます。羽田空港からは京浜急行バスを利用することも可能です。
氷川丸の見学所要時間が約1時間から1時間半程度なので、現地での滞在時間は、氷川丸の見学だけなら約2時間から2時間半程度が目安で、これが最小限必要な滞在時間です。見学後に山下公園や横浜中華街など、周辺の観光スポットも一緒に楽しみ、食事もするのであれば、現地で5、6時間程度の滞在時間が推奨となります。氷川丸の見学を中心に、横浜の魅力を満喫する一日を過ごしてみてはいかがでしょうか。
氷川丸の撮影許可は必要?

氷川丸の見学中に写真撮影をする際、特別な撮影許可は必要ありません。見学ルート内での写真撮影は自由に行うことができます。ただし、他の見学者に配慮し、迷惑にならないように注意しましょう。また、三脚の使用はできませんので、手持ちのカメラやスマートフォンで撮影することをおすすめします。
撮影した写真をSNSなどにアップロードする際には、他の見学者が映り込まないようにするか、映り込んでいる場合は加工を行うようにしましょう。これにより、プライバシーを守りながら楽しい思い出を共有することができます。
氷川丸の美しい内装や歴史的な雰囲気を写真に収めることで、見学の記念として残すことができます。ぜひ、カメラを持参して、氷川丸の魅力を写真に収めてみてください。
氷川丸の見学レビュー
私が氷川丸の内部見学をした際の見学レビューを簡単に紹介します。これから氷川丸の見学に出かけてみようと思われる方にとっては参考になると思います。

氷川丸の内部に入るには、氷川丸の船体横につながっているタラップを登って乗船します。チケット売場はタラップを登ったところの船内にあります。入場料は300円。Bデッキにあるエントランスから入ると、豪華な内装が目に飛び込んできます。船内は豪華なホテルのようです。アールデコ様式のデザインが施された階段や廊下などは、当時の雰囲気をそのまま残しており、歴史を感じさせます。

Bデッキの見どころは上の写真にある一等食堂です。以前はレストランの営業をしていたようですが、残念ながら現在はレストランの営業はなく見学のみとなっています。しかし、豪華な装備は見事です。昔の富裕層の方々が北米までの長い航海で利用したレストランだかある、さすが一等食堂といった印象でした。

Bデッキからひとつ上の階のAデッキに移動すると、一等船客専用のフロアになっていました。上の写真は一等社交室。氷川丸に乗船した当時の社交界の方々が社交場として利用していたのでしょう。ここは氷川丸のメインホールにもなり、ダンスパーティーや船内の公式レセプション会場としても使用されていたそうです。

同じAデッキにある一等特別室、つまりスイートルームが上の写真です。このお部屋は皇族の秩父宮殿下も利用されたことがあるそうです。古さは感じますが、豪華で贅沢な内装は必見です。

船室からは屋外の甲板にも出ることができます。さすが大型客船だけあって甲板のスペースが広いです。気軽に腰掛けるベンチもたくさんあるので、ここで座って一休みしました。夏でもけっこう涼しくて快適でした。

続いて階段を上がって氷川丸のブリッジがあるN1N2N3デッキに移動しました。上の写真は操舵室です。ここが氷川丸の見学で最大の見どころです。装置類も手に取って触ることができるので、船の技術関連に興味のある人にとっては面白いと思います。100年近く昔の日本でこのような船を建造する技術があったことには、日本人として誇らしく思えました。

ブリッジにある神棚には大宮にある氷川神社の祭神がお祀りされていました。氷川丸の船名が大宮の氷川神社に由来するもので、氷川丸の建造当初からここに氷川神社の祭神がお祀りされているそうです。

ブリッジの横には船長室がありました。船長専用の公室兼寝室です。何か起こったときにはすばやく対応できるよう、操舵室から最も近い場所にあるそうです。

ブリッジを見学したあとは階段を下りてCデッキおよびDデッキまで移動しました。Cデッキには三等客室がありました。開放型二段ベッドタイプの客室で、今どきのフェリーでも似たようなタイプのものがあるので親しみを感じました。カーテンはリッチな感じがします。たぶんこの三等客室が最もエコノミーな客室だったのでしょう。さすがに大広間に多くの人が雑魚寝するタイプの客室は無いようでした。

そのあとはエンジンルームを見学。現役時代のままのエンジンで、デンマークのバーマイスター&ウェイン製複動式ディーゼル機関です。車のエンジンとは全くスケールが違います。エンジンルームに人が入れるという時点で驚きものです。ここも工業技術に関心のある人にとっては大きな見どころになります。

最後はもう一度操舵室に戻ってブリッジからの眺めを味わったあと、氷川丸の見学を終えました。こうして氷川丸の内部見学は所要時間1時間半ほどでした。氷川丸の魅力をじっくり楽しむことができました。
まとめ:横浜の重要文化財「氷川丸」の歴史と魅力・見学レビュー
本記事で説明した内容は次のとおりです。
- 氷川丸は1930年に竣工した12,000トン級の貨客船である
- 太平洋戦争中には特設病院船として活躍した
- 戦後は復員船として多くの引揚者を運んだ
- 1960年まで北太平洋航路で大型客船として運航された
- 現在は横浜市の山下公園で博物館船として一般公開されている
- 2003年に横浜市の有形文化財、2007年に経済産業省の近代化産業遺産、2016年に国の重要文化財に指定された
- 横浜船渠株式会社(現:三菱重工業横浜製作所)で建造された
- 外板の厚さや水密区画構造など、安全性と耐久性を重視した設計である
- デンマークのB&W製ディーゼルエンジンを搭載している
- アールデコ様式のインテリアが特徴である
- 見学所要時間は約1時間から1時間半程度である
- 入場料金は一般300円、シニア200円、中高生100円、小学生100円である
- 見学中の写真撮影は自由だが、三脚の使用は禁止されている
- 最寄り駅は、みなとみらい線の元町・中華街駅である
- 氷川丸のレストランは現在営業しておらず、見学のみ可能である
- ガイドツアー(不定期開催)に参加すると詳しい説明を聞ける
- 氷川丸の見学後は山下公園や横浜中華街も楽しめる