広告
対馬の厳原で城下町歩きや対馬博物館について調べていると、どういった見どころがあるのか、アクセスは分かりやすいのか、見学にどれくらい時間がかかるのか、実際のレビューはどうなのかといった疑問を抱く方が多いのではないでしょうか。厳原は対馬観光の中心地でありながら、城下町特有の複雑な地形や、博物館の入口動線など、事前に知っておきたいポイントも少なくありません。
この記事では、厳原城下町歩きと対馬博物館の見学を軸に、対馬の歴史を探訪できる史跡巡りや、筆者が実際に対馬博物館を訪問したレビュー、そして周辺のグルメ情報までをまとめて解説します。初めて対馬を訪れる方でも、迷わず、そして深く楽しめるような視点でお伝えします。
- 本記事を読んでわかるポイント
- ・厳原城下町歩きと対馬博物館の全体像と訪問ルート
・対馬博物館のアクセスや筆者によるレビュー
・厳原城下町歩きで巡る主要史跡の見どころ
・各施設や史跡における実践的な注意点
厳原城下町歩きと対馬博物館

この章では、厳原観光の起点となる対馬博物館を中心に、城下町歩きをどのように組み立てると理解が深まるのかを、実体験と歴史的背景の両面から詳しく解説します。厳原という町は、事前知識の有無によって印象が大きく変わる場所です。まずは知識を得てから歩くことで、石垣や道の曲がり方一つひとつに意味を見いだせるようになります。
城下町歩きのスタートは対馬博物館から
厳原城下町歩きを始めるにあたり、筆者のおすすめは対馬博物館からのスタートです。これは効率の問題だけではなく、理解の深さに直結する重要なポイントだと感じているからです。対馬は古代から日本列島と朝鮮半島を結ぶ結節点として機能してきましたが、その歴史は断片的に知るだけでは全体像がつかみにくい土地でもあります。
対馬博物館では、自然史・考古・民俗・外交史が一体的に構成されており、対馬が「国境の島」としてどのような役割を担ってきたのかを時系列で理解できます。元寇、倭寇、文禄・慶長の役、朝鮮通信使といった出来事は、単なる歴史用語ではなく、厳原の城下町そのものを形作った要因です。これらを頭に入れた状態で城下町を歩くと、寺院の立地や道の屈曲、城跡の位置関係が、単なる景観ではなく「意図された空間」として立ち上がってきます。
ポイント: 対馬博物館で全体像を把握してから城下町へ出ることで、史跡一つひとつの理解度と満足度が大きく変わります。
対馬博物館へのアクセスと入口・営業時間と料金

対馬博物館は厳原港や対馬空港からの路線バスが停車する厳原バス停の近くに位置しています。ちなみに、厳原バス停には「観光情報館ふれあい処つしま」があり、ここには観光案内所のほか、お土産物ショップ、レストランなどが併設されていますので、厳原での観光の拠点として利用するのがおすすめです。
厳原バス停から対馬博物館へのアクセスは徒歩3分ほどと、とても近いのですが、対馬博物館の入口は少しわかりにくくなっています。厳原バス停の前に道路を挟んでドラッグストアー「マツモトキヨシ」が見え、その左側に金石城跡の石垣が見えますが、その石垣の上に建っているのが対馬博物館になります。対馬博物館には建物の正面に向かって伸びるスロープがありますが、このスロープは通行禁止になっており、このスロープの手前の石垣の横に沿った坂道を上がって行くことになります。坂道を上がって左に曲がり対馬博物館の建物の裏手に回り込んだところに「北口」という入口があります。
注意: 対馬博物館の正面スロープ側は入口ではありません。石垣沿いの坂道を上がる動線を意識してください。
対馬博物館の営業時間は午前9時30分〜午後5時(最終入館は午後4時30分まで)です。ちなみに、対馬博物館に併設された無料駐車場の利用は午前9時00分〜午後5時30分までとなっています。なお、対馬博物館の休館日は、毎週木曜日と年末年始(12月28日~1月3日)であり、木曜日が祝日・振替休日の場合はその後の最初の平日が休館日となります。ただし、休館日は変更することもあるので、実際に訪問する前には公式サイトにより確認してください。
対馬博物館の料金(平常展の入館料)は、一般550円、高校生・大学生330円、小中学生220円です。特別展については、その展覧会やイベントごとに料金が定められています。
なお、2025年4月1日(火)~2026年3月31日(火)の期間(※延長の可能性もあり)、厳原城下町にある有料施設「対馬博物館」「萬松院」「対馬朝鮮通信使歴史館」「旧金石城庭園」の4カ所を巡ることができるお得な「対馬の歴史探訪パスポート」というチケットが販売されています。販売価格は、おとな900円(税込)、こども510円(税込)で、対馬博物館のほか、「観光情報館ふれあい処つしま」の観光案内所、対馬朝鮮通信使歴史館の3ヵ所で購入できます。
バラバラで料金を支払うと、対馬博物館550円、萬松院300円、対馬朝鮮通信使歴史館220円、旧金石城庭園310円で合計1,380円なので、「対馬の歴史探訪パスポート」のほうが480円お得になります。
対馬博物館の見学に必要な所要時間と注意点
対馬博物館の見学に必要な所要時間は、来館者の関心度によって大きく変わりますが、一般的な観光の目安としては約60分前後を見ておくと安心です。展示をざっと流すだけであれば30分程度でも可能ですが、それでは対馬という土地の奥行きを十分に感じ取ることは難しいでしょう。
館内は全体的に照明が落とされており、これは資料保存を最優先した設計です。そのため、明るい展示空間に慣れている方には暗く感じられるかもしれませんが、静かに資料と向き合える環境が整っているとも言えます。文化財の保存と公開のバランスについては、文化庁も重要性を指摘しており、対馬博物館の展示方針はその考え方に沿ったものだと感じます。
注意点としては、展示物の写真撮影可否に関しては、館内の指示に従うようにしてください。不安のある場合には、係員に確認してから写真撮影を行うようにしましょう。筆者が実際に訪れた印象としては、フラッシュ禁止を守れば写真撮影が可能な展示が多いように思われました。
対馬博物館の展示と見どころレビュー
ここで筆者が実際に対馬博物館を訪れたレビューを通じて対馬博物館での展示や見どころを紹介します。対馬博物館は、かつて対馬藩を治めた宗氏の居館「金石城跡」の上に建てられており、歴史の重みと現代的な建築美が見事に調和した空間でした。館内は5つの平常展エリアに分かれており、対馬の自然・歴史・文化を多角的に体感できる構成になっていました。

入館して最初の「総合展示室」では、平らに広げられた巨大なデジタルサイネージが目を引きます。映像で島の地形や歴史の変遷が紹介され、演出も素晴らしく興味深い内容でした。また、剥製となった日本最大のキツツキ「キタタキ」や、対馬固有の植物「ツシマヒョウタンボク」、そして独自に進化した釣針「満山釣針」など、対馬特有の自然と文化を感じました。

次の「古代展示室(旧石器時代~平安時代)」では、約7300年前の縄文時代から古墳時代までの出土品が並び、対馬が古くからアジアの中継地として機能していたことが実感できます。特に、弥生時代の銅矛の出土数が日本一という事実には驚かされました。

更に進んで「中世展示室(平安時代~安土桃山時代)」では、蒙古襲来や倭寇の活動、そして海上交易によって栄えた対馬の姿が浮かび上がります。高麗時代の青磁や重要文化財の「梵鐘」など、朝鮮半島との深い関係を物語る品々が印象的でした。

そして「近世展示室(安土桃山時代~江戸時代)」では、宗氏の巧みな外交術が紹介されており、偽造印を用いた交渉のエピソードには思わず息を呑みました。実際に偽造印を押す体験コーナーもあり、当時の緊張感を少しだけ味わうことができます。ここでは、長崎県指定有形文化財「観音寺の観世音菩薩坐像」が展示されていました。筆者としては、この観世音菩薩坐像が最大の見どころでした。写真で見るよりも実物は何倍も美しく感動的でした。
最後の「近現代展示場(明治時代~現代)」は窓際の通路沿いにある展示エリアでした。写真資料を通じて明治以降の対馬の姿が語られます。特に、宗武志と徳恵姫の写真からは、政略結婚の枠を超えた人間的なつながりが感じられ、胸を打たれました。
厳原の城下町歩きで巡る史跡
続いてこの章では、対馬博物館で得た知識を踏まえ、実際に歩いて巡りたい厳原城下町の主要史跡について、移動効率のよい順番で詳しく解説します。いずれも徒歩圏内に集約されており、歴史散策に非常に適したエリアです。
金石城跡の見学

対馬博物館の見学を終えたあとは金石城跡を見学します。対馬博物館を出るときは入館したのとは別の「正面入口」から出ると便利です。対馬博物館の正面入口を出て通路に沿って進むと左側に金石城跡の櫓門が見えます。
金石城は、文禄・慶長の役の際に築かれた清水山城の麓に位置する平城で、宗氏の居城だったところです。金石屋形を、朝鮮通信使を迎えるために、近世城郭に改築したといわれ、石垣や堀切が廻らされましたが、天守は築かれず、1669年(寛文9年)に宗義真によって造られた大手口の櫓門を天守の代用としていたお城です。1990年に復元されたものだそうですが、櫓門は立派です。

櫓門から入って少し進むと「李王家宗伯爵家ご結婚奉祝記念碑」という石碑があります。朝鮮国王高宗の娘である徳恵姫が、宗家当主である宗武志伯爵のもとへ嫁いだことを記念し、1931年に建てられた記念碑です。日韓併合という激動の近代史を感じることのできる史跡です。続いて、その隣の旧金石城庭園に進みます。旧金石城庭園の入園料は大人310円ですが、「対馬の歴史探訪パスポート」を購入していれば、追加料金なく入園できます。

旧金石城庭園は金石城跡に隣接し発掘された庭園遺構です。宗家文書『毎日記』には元禄3(1690)年から元禄6年(1693年)に「御城」(金石城)での作庭が行われたことを伝える記事が見られ、文化3年(1806年)には朝鮮通信使を迎えるために宿泊所の建設など場内の整備を行った際に描かれた図面にも庭園が記されています。
つまり、この庭園は、朝鮮通信使を迎えるための迎賓空間として整えられたもので、単なる藩主の居住空間ではなかったようです。金石城と庭園が外交の舞台でもあったという点は、厳原城下町を理解するうえで欠かせない視点となります。
萬松院を参拝

続いて、旧金石城庭園の奥にある寺院、萬松院(万松院)に向かいます。萬松院の正面にある山門は閉まっており、山門に向かって左手側に入口があります。入口を入った奥に受付があり、そこで拝観料大人300円を支払って境内に入ります。ここも「対馬の歴史探訪パスポート」を購入していれば、追加料金なく拝観できます。
萬松院は対馬藩主宗家の菩提寺であり、境内には宗氏の歴代藩主17代とその家族のの墓所が並び、その規模と格式から、対馬藩が担ってきた役割の大きさが伝わってきます。萬松院は、1602年(慶長7年)、対馬藩初代藩主・宗義智(そう よしとし)が、父・宗義調(そう よししげ)の菩提を弔うために創建した臨済宗南禅寺派の寺院です。

萬松院での見どころのひとつは、境内へと続く132段の石段からなる「百雁木(ひゃくがんぎ)」です。杉の大木に囲まれたその道は、まるで時代を超えて歩いているかのような感覚になります。苔むした石段と木漏れ日が織りなす風景は、まさに自然と歴史の調和です。

また、百雁木を登った先にある宗氏の墓所も見どころのひとつです。この宗氏の墓所は江戸時代の大名墓としては日本三大墓所の一つに数えられ、国の史跡にも指定されています。石塔や石灯籠が整然と並び、歴史の重みを感じさせます。
萬松院は、単なる寺院ではなく、対馬の歴史と朝鮮との交流の象徴でもあります。宗氏は江戸時代を通じて朝鮮との外交を担い、朝鮮通信使の接待などを通じて日本と朝鮮の架け橋となりました。萬松院はその歴史の証人でもあり、日韓の文化交流を考える上でも重要な場所です。
なお、萬松院では拝観料を支払う受付のところで御朱印を授与いただくことができます。持参した御朱印帳への直書きによる記帳を希望する場合には、拝観料を支払う際に御朱印帳を預けて、帰りに御朱印が記帳された御朱印帳を受け取るようにするとスムーズです。
朝鮮通信使歴史館

萬松院の参拝を終えたら、萬松院の前の道路を対馬博物館の方に戻って行きます。200mほど歩くと右手に朝鮮通信使歴史館があります。朝鮮通信使歴史館の営業時間は対馬博物館と同様、午前9時30分〜午後5時(最終入館は午後4時30分まで)、休館日は毎週木曜日と年末年始(12月28日~1月3日)であり、木曜日が祝日・振替休日の場合はその後の最初の平日が休館日となります。また入館料は、一般・大学生220円、高校生・小中学生110円ですが、「対馬の歴史探訪パスポート」を購入していれば、追加料金なく入館できます。
この朝鮮通信使歴史館は、対馬博物館に比べると規模が小さいですが、江戸時代に朝鮮から日本へ派遣された「朝鮮通信使」に関する資料や展示に特化した展示館です。館内には当時の行列の様子を再現したジオラマや、通信使が持参した文書、衣装、道具などが展示されていて、当時の文化交流の様子がよくわかります。
なお、朝鮮通信使歴史館では館内の展示などは基本的にすべて写真撮影禁止となっています。対馬博物館での展示の多くが写真撮影可能であったのに対して、厳しいルールになっているので、見学時には注意が必要です。
厳原八幡宮への参拝

続いて、厳原八幡宮を参拝します。厳原八幡宮は、厳原バス停から国道382号線沿いに500mほど歩いたところにあります。朝鮮通信使歴史館からは徒歩10分ほどで到着します。厳原八幡宮は、観光色の強い史跡とは異なり、現在も地域の信仰を支える存在です。厳原の「生活の歴史」を感じ取ることができます。
厳原八幡宮の創建は古く、平安時代の康平年間(1058年頃)にさかのぼるとされています。源頼朝の祖先である源頼義が、東北地方の戦い(前九年の役)に赴く際、戦勝祈願のために宇佐八幡宮(大分県)から分霊を勧請して創建したと伝えられています。その後、対馬を治めた宗氏の氏神として篤く信仰され、対馬の政治・文化・信仰の中心地の一つとなりました。また、対馬国一宮は一般的には対馬北部にある海神神社とされていますが、この厳原八幡宮も対馬国一宮の論社とされています。
厳原八幡宮の見どころとしては、社殿と拝殿、境内にある摂社の荘厳な佇まいがあげられます。現在の社殿は江戸時代に再建されたものですが、木造の美しい建築が特徴です。八幡造の様式を取り入れた社殿は、静かな森の中に凛と佇み、訪れる人々を包み込むような雰囲気を持っています。
なお、厳原八幡宮では拝殿の手前にある社務所にて御朱印を授与いただくことができます。持参した御朱印帳への直書きは対応しておらず、書き置きでの授与となっています。
厳原城下町歩きのグルメ休憩

厳原城下町歩きでは、適度な休憩が欠かせません。厳原市街地には、対州そばやろくべえといった郷土料理を提供する店が点在しています。これらの料理は、対馬の自然条件と歴史的背景から生まれたものであり、食文化もまた城下町の一部だと実感できます。
たとえば上でも紹介した「観光情報館ふれあい処つしま」には「つしにゃんキッチン」というレストランが併設されています。本記事で紹介した城下町歩きの中心位置にあり、時間のロスなく利用できるのでおすすめです。
まとめ:厳原の城下町歩きと対馬博物館レビューの完全ガイド
厳原は金石城跡や萬松院など歴史のある閑静な町であり、天気のいい日には一日ゆっくりと城下町歩きを楽しむことができます。また、厳原城下町歩きに対馬博物館や朝鮮通信使歴史館を組み合わせることで、対馬という国境の島の歴史を立体的に理解でき、非常に密度の高い体験となります。
本記事で紹介した行程や所要時間はあくまで目安とし、最終的な判断は公式情報を確認したうえで、ご自身の体力や関心に合わせて調整してください。
次のアクションへのヒント
■ 対馬への「飛行機+ホテル」を予約するなら、楽天トラベルの「ANA楽パック」を使うとバラバラで予約するよりもお得になります。 → 「ANA楽パック」詳細はこちら
■ フェリーなどで対馬に行く場合は、ホテルを別途予約する必要があります。ホテルは厳原で探すと御朱印めぐりやその他の観光に便利です。 → 楽天トラベルで「厳原のホテル」をさがす
■ 和多都美神社や海神神社を参拝して御朱印をいただきたい人は、当ブログの関連サイトの記事が参考になりますのでご参照ください。 → 対馬わだつみ海神神社に関する記事