熊野古道の初心者向け日帰りモデルコースの詳細ガイド

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熊野古道の初心者向け日帰りモデルコースの詳細ガイド

世界文化遺産「紀伊山地の霊場と参詣道」では、寺社で構成される霊場だけでなく、その参詣道「熊野古道」が構成要素となっているのが特徴。熊野古道は、長い歴史にわたって多くの巡拝者の思いが込められた道です。

本記事では、熊野古道を日帰りで歩くモデルコースについて調べている人に向けて、 熊野古道の日帰り可能なモデルコースについて紹介します。ここで紹介するモデルコースは、かつて多くの巡拝者が通った昔ながらの熊野古道の雰囲気を感じることができ、しかも車なしで日帰り可能、初心者にも適しているコースです。このモデルコースに必要な所要時間や、大阪や名古屋、そして東京からの日帰りが可能かどうかについても解説します。

さらに、ここで紹介する日帰り可能なモデルコースが「なぜ?」おすすめとなるのかについての筆者独自の見解も解説しつつ、熊野三山の参拝とあわせて熊野古道をより深く楽しむための、1泊2日のモデルコースや2泊3日のモデルコースの提案もしています。

最後に、筆者が東京からの日帰りで熊野古道を歩いた時のレビューを紹介することで、熊野古道についての具体的なイメージを深め、皆様が旅の計画を立てる参考にしたいと思います。

本記事が説明するポイント
・熊野古道を車なしでも日帰りできる初心者向けのモデルコースの紹介
・熊野古道を日帰りするモデルコースの所要時間と大阪、名古屋、東京からの日帰り
・熊野古道の1泊2日や2泊3日のモデルコースの紹介
・筆者が東京から日帰りで熊野古道を歩いた時のレビュー紹介

熊野古道の日帰りモデルコース解説

熊野古道のシーン1

ここでは、熊野古道の車なしで行ける初心者向けモデルコースとして、大門坂―熊野那智大社コースを紹介し、この大門坂―熊野那智大社コースの所要時間と、大門坂―熊野那智大社コースを大阪や名古屋から日帰りする方法、そして大門坂―熊野那智大社コースを東京から日帰りする方法などについて詳しく解説します。

熊野古道: 和歌山県公式観光サイト

車なしで行ける初心者向けモデルコース

結論から言うと、熊野古道の日帰りモデルコースとして、車なしで行ける初心者向けのコースは、下の地図に示す通り、大門坂から多富気王子を通って熊野那智大社までの道を歩くコースとなります。以降、本記事ではこのモデルコースのことを「大門坂―熊野那智大社コース」と呼ぶことにします。

この大門坂―熊野那智大社コースは、多富気王子の少し手前にある大門坂というところから中辺路・熊野古道を歩いて熊野那智大社に至る1kmほどの道を歩きます。石段が続く上り坂の少々きつい道ですが、杉木立の森の中を通るとても雰囲気のある道で、昔ながらの熊野古道を感じるには最適なコースとなります。山歩きの初心者でも大人なら大門坂から1時間以内でゴールの熊野那智大社にたどり着けるでしょう。初心者向けモデルコースと言えます。

また、このモデルコースの出発地点である大門坂へは、JR紀伊勝浦駅前のバス停「紀伊勝浦駅」から熊野御坊南海バス31系統に乗車して、バス停「大門坂」で下車することでアクセス可能です(所要時間約20分、運賃480円)。そして、熊野古道を歩いた後、熊野那智大社と青岸渡寺などを参拝し、那智の滝を見物してから、帰りはバス停「那智の滝前」でから熊野御坊南海バス31系統に乗車してバス停「紀伊勝浦駅」で下車します(所要時間約25分、運賃630円)。

以上のように、この大門坂―熊野那智大社コースは、JR紀伊勝浦駅を起点として、紀伊勝浦駅からは路線バスを利用してアクセスできるので、車なしでも日帰り可能なモデルコースとなります。

大門坂―熊野那智大社コースの所要時間

次に、JR紀伊勝浦駅を起点として大門坂―熊野那智大社コースを楽しむ場合にかかる、このモデルコース全体の所要時間について解説します。上でも触れましたが、大門坂から熊野那智大社まで熊野古道を歩く所要時間は1時間以内なので、この部分を所要時間1時間として計算します。

熊野那智大社と青岸渡寺はすぐ隣にあるので、これら一社一寺の参拝は余裕をもってあわせて1時間とります。ここから那智の滝までは約1kmの下り坂を歩いて約25分、那智の滝で30分見物の時間をとった後、バス停「那智の滝前」までは約300mを歩いて約5分です。従って、熊野那智大社に到着してから参拝や見物を終えてバス停「那智の滝前」に着くまでが約2時間となります。

あとは、熊野御坊南海バス31系統の路線バスで、行きの「紀伊勝浦駅」から「大門坂」までの所要時間が約20分、帰りの「那智の滝前」から「紀伊勝浦駅」までの所要時間が約25分となり、路線バスでの往復に要する所要時間は約45分となります。なお、熊野御坊南海バス31系統の運行は日中40分に1本の頻度となり、実際にはバス停での待ち時間が発生することになります。

以上より、JR紀伊勝浦駅を起点として大門坂―熊野那智大社コースを楽しむ場合にかかる全体の所要時間は、「熊野古道歩き1時間」+「参拝と滝見物2時間」+「往復バス乗車時間45分」+「バス待ち時間15分」として、あわせて4時間ぐらいとなります。

大門坂―熊野那智大社コースを大阪や名古屋から日帰り

上で説明したとおり、JR紀伊勝浦駅を起点として大門坂―熊野那智大社コースを楽しむ場合にかかる全体の所要時間は約4時間です。例えば大阪方面からなら、大阪09:33発のJR特急くろしお5号で紀伊勝浦13:29着、大門坂―熊野那智大社コースを楽しんで、帰りは紀伊勝浦18:04発のJR特急くろしお36号で大阪22:02着となり、日帰りが可能です。現地での滞在時間は4時間半あり、大門坂―熊野那智大社コースの所要時間4時間以上あるので問題なさそうです。

また例えば名古屋からなら、名古屋08:02発のJR特急南紀15号で紀伊勝浦11:56着、大門坂―熊野那智大社コースを楽しんで、帰りは紀伊勝浦17:11発のJR特急南紀8号で名古屋20:49着となり、こちらも問題なく日帰りが可能です。現地での滞在時間は5時間あり、大門坂―熊野那智大社コースの所要時間4時間以上あるので問題なさそうです。

大門坂―熊野那智大社コースを東京から日帰り

熊野古道のシーン2

では、東京からなら大門坂―熊野那智大社コースを日帰りできるのでしょうか?答えは、東京からでも日帰り可能です。以下、大門坂―熊野那智大社コースを東京から日帰りで楽しむための具体的なアクセス方法やスケジュールを詳細に説明します。

1.往路:東京から紀伊勝浦までのアクセスについて

大門坂―熊野那智大社コースの起点となるのはJR紀伊勝浦駅です。そこで、東京を早朝に出て最も早く紀伊勝浦駅に到着できるプランを考えて見ることにします。車は使わず、飛行機、鉄道、バスなどの公共交通機関のみ使用します。なお、ここで紹介する運行ダイヤは2025年3月時点のものですので、皆様が実際に旅行される場合には最新の運行ダイヤを確認いただけますようお願いいたします。

① JAL便+空港リムジンバスを利用する方法

JAL便+空港リムジンバスを利用するのが当日中に東京から最早でアクセスできる方法になります。JAL213便から熊野白浜リゾート空港リムジンバスに乗り継ぐ方法です。JAL213便は、羽田空港07:40発・南紀白浜空港08:55着。南紀白浜空港から、南紀白浜空港を09:30発の熊野白浜リゾート空港リムジンバスに乗車して紀伊勝浦駅に11:25着となります(運賃2,600円)。空席があれば予約なしでも乗車できますが、あらかじめネット予約をしておくと安心です。

② 新幹線+特急南紀号を利用する方法

上記の「JAL便+空港リムジンバス」に比べると30分ほど到着時間が遅くなりますが、新幹線から特急南紀1号を利用する方法も使えます。この方法では東京駅06:15発の新幹線のぞみ3号で名古屋駅07:50着、名古屋駅08:02発の特急南紀1号に乗り継いで、紀伊勝浦駅に11:56着となります。割引金額の適用如何にもよりますが、金額的には「JAL便+空港リムジンバス」よりもこちらのほうが安くなる可能性が高いと思います。

2.復路:紀伊勝浦から東京までのアクセスについて

以上より、東京を早朝に出発すれば、紀伊勝浦駅にはお昼の12時前に到着できることがわかりました。続いて、帰りのアクセスについては、大門坂―熊野那智大社コースの所要時間4時間以上を確保することを考え、紀伊勝浦駅を午後17時くらいに出発して当日中に東京に戻れるプランを考えて見ることにします。

● 新幹線+特急南紀号を利用する方法

南紀白浜空港から羽田空港へのフライトの最終便であるJAL218便は、南紀白浜空港18:20発となりますので。「紀伊勝浦駅を午後17時くらいに出発」という条件では、JAL218便に乗るのは時間的に不可能です。従って、復路で採用可能な方法は、以下の通りとなります。

まず、紀伊勝浦17:11発の特急南紀8号に乗車して名古屋20:49着。ここで名古屋21:06発の新幹線のぞみ262号に乗り継いで、東京駅22:42着となります。この方法なら、紀伊勝浦駅を午後17時くらいに出発して当日中に東京に戻れるプランとなります。

3.東京から日帰りする方法のまとめ

以上のとおり、東京から紀伊勝浦への往路は、① JAL便+空港リムジンバスを利用する方法、または② 新幹線+特急南紀号を利用する方法によって、紀伊勝浦駅にお昼の12時までには到着でき、紀伊勝浦駅を起点として大門坂―熊野那智大社コースを所要時間4時間以上を確保しながら楽しんだ後、紀伊勝浦からの復路は、新幹線+特急南紀号を利用する方法により、紀伊勝浦駅を17時過ぎに出発すれば、当日中に東京に戻ることができます。

熊野古道の日帰りモデルコース「なぜ?」とレビュー

熊野古道のシーン3

次に、上で紹介した熊野古道の日帰りモデルコースである「大門坂―熊野那智大社コース」が「なぜ?」おすすめとなるのかについての筆者独自の見解を述べつつ、熊野三山の参拝とあわせて熊野古道をより深く楽しむための、1泊2日のモデルコースや2泊3日のモデルコースの提案をします。そして最後に、筆者が東京からの日帰りで熊野古道を歩いた時のレビューを紹介することで、熊野古道についての具体的なイメージを深め、皆様が旅の計画を立てる参考にしたいと思います。

なぜ「大門坂―熊野那智大社コース」がおすすめ?

まず、世界文化遺産「紀伊山地の霊場と参詣道」における三大霊場とそれぞれの熊野古道の位置関係を把握し、そのなかでも熊野古道の初心者に適したコースをピックアップするというアプローチで以下のとおり考えてみました。なお、このセクションは筆者独自の見解を述べているだけなので、読み飛ばしていただいても問題ありません。

1.三大霊場と熊野古道の位置関係

熊野古道全体マップ
新宮市観光協会より引用:https://www.shinguu.jp/kumanokodo2

世界文化遺産「紀伊山地の霊場と参詣道」の全体像は上のマップにある通りです。大きく3つのエリア「霊場」が構成要素になっています。紀伊半島の中央に逆三角形状に配置されたこれらの霊場は、和歌山県北部にある金剛峯寺を中心とした「高野山」、奈良県中部にある金峯山寺を中心とした「吉野・大峰」、そして和歌山県南東部にある熊野那智大社をはじめとする「熊野三山」です。これらは三大霊場とも呼ばれています。

そして、各霊場・各方面と熊野三山を結ぶ参詣道が「熊野古道」となっており、上の図のように「大辺路」「中辺路」「小辺路」「大峰奥駈道」「伊勢路」「高野山町石道」という名で呼ばれています。見ていただければおわかりの通り、三大霊場と熊野古道をあわせると紀伊半島全体に及んでおり、これらを全て観光・参拝することは長期間の旅行でない限りは一度や二度の旅行では無理だということがわかります。

2.「熊野九十九王子社」を通り霊場に隣接する熊野古道を選ぶ

熊野古道・王子社マップ
大阪府・歴史街道ウォーキングマップ「熊野古道」より引用:https://www.pref.osaka.lg.jp/

個々の熊野古道の数はあまりにも多いですから、目的地とすべき熊野古道を選ぶにはもう少し条件を絞っていく必要があります。ここでは、中世の頃の巡拝者の思いを追体験できるような痕跡があることや、参詣先の霊場に隣接することなどを条件にしてみます。そこで参考となるのが「熊野九十九王子社」です。熊野九十九王子社とは、各熊野古道沿いにおいて創建された神社の総称で、熊野三山への参詣道中に各王子社で安全祈願の御幣が行われたものです。現存する又はその痕跡が残る王子社は上のマップのとおりで、とくに紀伊路と中辺路に集中しているのがわかります。

道中で王子社を訪ねながら熊野古道を歩いて霊場に参詣することができれば、中世の頃の巡拝者の思い、たとえば平安時代に皇族の方々が熊野御幸をされたことを追体験しやすいのではないかと思います。ところが、王子社が最も多い紀伊路ですが、中世の頃の状態が維持保存されていないといった理由から、熊野古道には違いありませんが、残念ながら世界遺産の構成要素からは外れています。となると、おすすめの熊野古道の候補としては、霊場のひとつ熊野三山周辺の熊野古道に絞られます。

3.熊野三山周辺の熊野古道から3コース

では、道中で王子社を訪ねながら昔ながらの雰囲気の熊野古道を歩いて霊場(熊野三山)に参詣するようなコースを選びます。熊野三山は、熊野本宮大社、熊野速玉大社、熊野那智大社の三社ですから、コースも3種類が候補となり得ます。

① 三軒茶屋―熊野本宮大社コース

1つ目の三軒茶屋―熊野本宮大社コースは、上の地図のとおり、小辺路の「三軒茶屋」から「祓殿王子」を通って熊野本宮大社に至る約2kmの熊野古道を歩くコースです(Googleマップでは実際の熊野古道の経路が表示されないのでご注意)。杉木立の森の中を通るいかにも古道という雰囲気があり、起伏のある道ですが、それほどきつくない初心者でも歩きやすいコースとなります。

この三軒茶屋―熊野本宮大社コースでは、王子社を訪ねながら昔ながらの雰囲気の熊野古道を歩けるコースであるという条件は満たしています。このコースを歩いて熊野本宮大社を参拝するという流れになりますが、そのほかの見どころとしては大斎原大鳥居くらいしかないのは、少し物足りないかもしれません。

なお、アクセスについては、JR新宮駅を起点とすると、熊野本宮大社までは路線バスで約1時間となりそれほどアクセスは悪くありません。東京の羽田空港から南紀白浜空港までJAL213便を利用した場合には、南紀白浜空港から熊野本宮大社まで乗り換えなしの「快速熊野古道号」というバスが利用できるので、東京を早朝に出てお昼の12時前には熊野本宮大社に到着できて便利です。三軒茶屋―熊野本宮大社コースは、大阪や名古屋はもちろん、東京からでも日帰りできるコースとなります。

② 熊野速玉大社へのコースはない

次に、新宮にある熊野速玉大社です。この熊野速玉大社には熊野古道の「中辺路」や「伊勢路」が接続しているはずなのですが、周辺は市街地化されており、昔ながらの雰囲気をもつ古道は隣接していません。また、熊野速玉大社から徒歩圏内にはそれといった王子社もありませんので、熊野速玉大社へのコースは、おすすめできる熊野古道のコースからは除外となります。

なお、熊野本宮大社から熊野速玉大社までを、熊野川を船で下っていく「川の熊野古道」があります。道を歩くという点で、本記事の主旨からは若干外れますが、かつて上皇や貴族たちが熊野本宮大社を参拝した後、熊野速玉大社までの移動にこの「川の熊野古道」を利用していたので、それを追体験するのも面白いでしょう。

「川の熊野古道」の体験は、新宮市の川舟センターで実施しています。実際に乗船する場所は、熊野本宮大社よりも下流にある「道の駅 熊野川」というところで、新宮駅から路線バスで30分くらいのところにあります。川下りの所要時間は90分で、下船場所は熊野速玉大社の近くです。熊野速玉大社から新宮駅までは路線バスで5分と近いですから、「川の熊野古道」を体験した後、熊野速玉大社を参拝するというコースであれば、大阪や名古屋、そして東京からも日帰りが可能となるでしょう。

③ 大門坂―熊野那智大社コース

そして最後が、すでに上で紹介している大門坂―熊野那智大社コースです。このコースは、多富気王子の少し手前にある大門坂というところから中辺路・熊野古道を歩いて熊野那智大社に至る1kmほどの道を歩く初心者にも適したものです。杉木立の森の中を通るとても雰囲気のある道で、昔ながらの熊野古道を感じることができます。すでに上で説明しているとおり、大阪や名古屋はもちろん、東京からでも、車なしで日帰りが可能な熊野古道のモデルコースです。

4.なぜ「大門坂―熊野那智大社コース」がおすすめかの結論

以上のとおり、道中で王子社を訪ねながら昔ながらの雰囲気の熊野古道を歩いて霊場(熊野三山)に参詣するようなコースは、三軒茶屋から熊野本宮大社へ向かう①三軒茶屋―熊野本宮大社コースと、大門坂から熊野那智大社へ向かう③大門坂―熊野那智大社コースとであり、いずれも初心者向けで、車なしでも大阪や名古屋はもちろん、東京からでも日帰り可能なコースです。

このうち筆者は、③大門坂―熊野那智大社コースのほうを、おすすめとしていますが、その理由の1つは上でも少し触れましたが、見どころの多さです。①三軒茶屋―熊野本宮大社コースでは、熊野古道以外は熊野本宮大社と大斎原大鳥居くらいしか見どころがないのに対し、③大門坂―熊野那智大社コースでは、熊野古道以外に熊野那智大社と青岸渡寺、そして那智の滝などと見どころが多い点があげられます。

2つ目の理由としては、①三軒茶屋―熊野本宮大社コースでは、バスで熊野本宮大社に到着した後、別のバスに乗り換えて熊野古道のスタート地点である三軒茶屋に移動し、三軒茶屋から再び熊野本宮大社に向けて歩くという順路となり、バスの乗り換えが面倒なのに対し、③大門坂―熊野那智大社コースでは、そのようなバスの乗り換えは不要である点で、旅慣れない初心者にも向いていると言えるからです。

見どころの多さとバスの乗り換えが無という、これら2つの理由から、本記事では、熊野古道の日帰りモデルコースである「大門坂―熊野那智大社コース」を、おすすめとしています。実際にこの大門坂―熊野那智大社コースは、三軒茶屋―熊野本宮大社コースに比べても人気が高いので、あながちそれほどおかしな見解ではないと思います。

熊野古道の初心者向け1泊2日モデルコース

続いて、熊野三山の参拝とあわせて熊野古道をより深く楽しむための、初心者向け1泊2日のモデルコースも紹介します。このモデルコースによると、熊野古道を楽しみつつ、熊野三山を、熊野本宮大社から熊野速玉大社そして最後に熊野那智大社という正式な巡拝の順序で参拝できます。

まず1日目は、上で紹介した三軒茶屋―熊野本宮大社コースで熊野古道を歩いて熊野本宮大社を参拝した後、新宮へ移動して新宮駅の近くで宿泊します。2日目は、午前中に熊野本宮大社を参拝した後、JR特急で新宮駅から紀伊勝浦駅にお昼までに移動します(所要時間約20分)。紀伊勝浦駅からは、大門坂―熊野那智大社コースにより熊野古道を歩いて熊野那智大社などを参拝して帰路につきます。

熊野古道の初心者向け2泊3日モデルコース

さらに、熊野三山の参拝とあわせて熊野古道とをより深く楽しみ、「川の熊野古道」までも体験することのできる、初心者向け2泊3日のモデルコースも紹介します。このモデルコースでも、熊野古道を楽しみつつ、熊野三山を、熊野本宮大社から熊野速玉大社そして最後に熊野那智大社という正式な巡拝の順序で参拝できます。

まず1日目は、上で紹介した三軒茶屋―熊野本宮大社コースで熊野古道を歩いて熊野本宮大社を参拝した後、新宮へ移動して新宮駅の近くで宿泊します。2日目は、新宮市の川舟センターによる「川の熊野古道」の体験のため、その乗船場である「道の駅 熊野川」まで路線バスで移動します(所要時間約30分)。吉野川を川下りして「川の熊野古道」を体験したあと(所要時間90分)、下船場所に近い熊野速玉大社を参拝します。2泊目も同じ新宮駅近くで宿泊します。3日目は、午前中のうちにJR特急で新宮駅から紀伊勝浦駅に移動します(所要時間約20分)。紀伊勝浦駅からは、大門坂―熊野那智大社コースにより熊野古道を歩いて熊野那智大社などを参拝して帰路につきます。

東京から熊野古道の日帰りレビュー

最後に、筆者が東京からの日帰りで「大門坂―熊野那智大社コース」により熊野古道を歩いた時のレビューを紹介します。熊野古道についての具体的なイメージを深め、皆様が旅の計画を立てる参考になれば幸いです。

往路は「新幹線+特急南紀号」を利用

上でも紹介しましたが、筆者は往路に「新幹線+特急南紀号」を利用しました。具体的には、東京駅06:15発の新幹線のぞみ3号で名古屋駅07:50着、名古屋駅08:02発の特急南紀1号に乗り継いで、紀伊勝浦駅に11:56着となりました。飛行機に比べて鉄道のほうが遅延も少ないので安心できます。

路線バスで紀伊勝浦駅から大門坂へ

紀伊勝浦駅から大門坂までは熊野御坊南海バスの31系統「那智山方面行き」を利用しました。紀伊勝浦駅前にバス停があり、12:20発のバスなので乗り継ぎには余裕がありました。バス停「大門坂」には12:40に到着しました(運賃は現金またはペイペイ払いで480円)。

大門坂バス停横のパーキングエリア

話は戻って昼食のことですが、特急南紀1号の車内で早めの昼食を済ませておいたのは正解でした。バス停「大門坂」に着いた時刻が12:40だったので、理想的には大門坂付近で昼食をとるのがよかったのですが、予想した通り大門坂付近には昼食をとれる飲食店が見当たりませんでした。

大門坂から林の中の山道を歩く

バス停「大門坂」から那智山方面に100mほど歩くと「大門坂」という標識のある三差路があります。ここを左側の細い道に入って行くのが熊野古道です。ちなみに、バス停「大門坂」横のパーキングエリアには「杖」の無料貸し出しがあります。この先、石段の多い登り道が続きますので杖があると少しは歩きやすくなりますので、必要だと思う人は是非一本借りて行ってください。杖はボックスに入っていますので、一本選んでそのまま持っていけばOKです。

三差路を入って行くと、しばらくは山村の中の田舎道といった感じが続きます。そして鳥居と朱塗りの小橋を通ります。いかにも参詣道という感じがして、だんだんテンションも上がってきました。

熊野古道の鳥居と朱塗りの小橋

石畳の道を少し歩いて行くと「大門坂茶屋」というお店があります。「茶屋」と言っても飲食店ではなく、「平安衣裳」の貸し出しを行っているお店でした。わたしは利用しませんでしたが、この先の熊野古道では平安衣裳を着た若い女性の方々をよく見かけました。神秘的な森の中の熊野古道の風景に鮮やかな平安衣裳がとても絵になっています。きっと平安時代もこのような光景だったのかなと思いました。

大門坂茶屋の提灯

「平安衣裳」の貸し出しは利用時間ごとに料金が決まっているようで、平安衣裳を着て熊野那智大社まで行って帰ってくる2時間コースとか、大門坂茶屋の近くを歩いて写真を撮るだけの1時間コースというのもあるようです。また戻って来るのも大変ですから付近で写真撮影する1時間コースがおすすめかもしれません。またと無い機会ですので、女性の方は利用されてみてはいかがでしょうか?

大門坂茶屋を過ぎるとすぐに、石畳の道をはさんで両側に立っている二本の杉。樹齢800年を超える杉で「夫婦杉(めおとすぎ)」と呼ばれています。恋愛成就や夫婦円満にご利益がありそうです。ここは絶好の写真撮影スポットのようでした。

熊野古道の夫婦杉

夫婦杉を過ぎると本格的な山道になってきます。少し進むと右手に石碑のようなものが見えます。ここが中辺路の最後の王子社とされる「多富気王子」です。立派な祠があるわけではありませんが、長い年月を通じて参詣者の思いがこもった神聖な場所のようです。短い道中ではありますが、無事に熊野那智大社まで参詣できることを祈願しました。

熊野古道にある多富気王子

そのあとはひたすら石段・石畳の山道を登っていきます。苔むした石段と杉木立という平安時代にタイムスリップしたような神秘的な雰囲気を感じながら歩きました。私はスニーカーを履いていきました。トレッキングシューズまでは必要ないとは思いますが、歩きやすい靴は必要です。

平安衣装で熊野古道を歩く人たち

最初の10分くらいは楽しみながらでしたが、ペースが速すぎたせいか、だんだんきつくなってきて最後は息が切れそうな感じでした。11月中旬の気温20度くらいでしたが、結構汗もかきました。これで平安衣裳を着て熊野那智大社まで登るのは大変そうですね。

熊野古道にあるヤタガラスの標識

林の中の山道はなんとか完走し、熊野那智大社参道入口のお土産物屋にある大きな駐車場の裏手に出たところにたどり着きました。バス停「大門坂」からの所要時間は40分くらい。杖は借りて来て正解でした。とくに夏場は熱中症に注意が必要です。水分補給も忘れずにしてください。

最大の難所は熊野那智大社までの階段

林の中の山道を抜け出て、少し右手に行くと郵便局があります。その横に「参道入口」の標識がありました。ここから熊野那智大社の参道となります。

熊野那智大社の参道入口

熊野那智大社まで、あとちょっとと思ったのもつかの間。下の写真のように、目の前にはすごい階段が待ち受けていました。熊野古道はこの参道の石段からが本番という感じです。杖はまだまだ役に立つので持っておきます。まだまだ先は長そうです。

熊野那智大社参道の石段

さきほどの林の中の山道でペースを考えずに体力を消耗してしまったからだったのか、熊野那智大社までの参道の登り道はほんとうに辛かったです。幸い熊野那智大社の参道に入るとお土産物屋が多かったので、道中でお土産物を見ながら休み休み進むことにしました。途中にはカフェもちらほらありましたので、ほんとうに辛い場合はカフェで少し休むことも考えていいと思います。自分にあった無理のないペースで疲れをコントロールしながら歩けば、それほど難しい道ではないと思います。

参道の途中にあるお店

そうこうしながら、無事に熊野那智大社に到着。13:45頃の到着です。参道ではときどき休憩しながらでしたが、バス停「大門坂」から熊野那智大社までの所要時間は60分くらいでした。やっと平坦な場所に出たのでホッとしました。広い境内に朱塗りの社殿が美しいです。さすがに歴史ある荘厳な雰囲気の神社です。

熊野那智大社の社殿

境内にあるテラスからの眺めも最高。苦労して登った甲斐がありました。拝殿でのお参りをし、御朱印も頂きました。熊野の神様のお使いである「八咫烏(やたがらす)」の御守りも頂くことができました。

熊野那智大社のテラスからの眺望

青岸渡寺と那智の滝をお参り

熊野那智大社に続いて青岸渡寺をお参りしました。熊野那智大社の授与所の奥にある門から通り抜けるとすぐ隣なので便利です。この先、那智の滝までは登り坂は無いので有難いです。青岸渡寺は、思ったほど大きな本堂ではありませんでしたが、ここも歴史を感じさせる建物です。青岸渡寺は本堂に入ることができますので、中へ入って参拝。御朱印は本堂内の納経所で頂くことができました。

青岸渡寺の本堂

続いて三重塔に向かいます。青岸渡寺の本堂からそれほど遠くありません。ちなみに那智の滝と三重塔が並んで映っている写真をよく見かけますが、その撮影ポイントは、たぶん下の図の位置あたりだと思います。

同じような感じで撮影してみましたが、下の写真のとおり、やっぱりうまくいきません。私の持っているコンデジではこれ以上うまく撮れないかもですね。

那智の滝と三重塔

三重塔は拝観料500円かかります。エレベーターで上まで登れて那智の滝がよく見えました。しかし、三重塔に登って見えるものはそのくらいですから、時間が無い場合にはわざわざ中に入るまでの必要はないかな、と思いました。

三重塔から見る那智の滝

三重塔からは下り坂が続きます。途中、5分ほどの短い区間ですが、森の中の山道を通りました。この部分も熊野古道の一部だと思われます。この山道を抜けると売店などが立ち並ぶ車道に出ます。帰りのバスに乗るバス停「那智の滝前」も、下の写真にあるとおり売店の横になります。

那智の滝前のバス停と売店

少し先を見ると、下の写真のように大きな鳥居がありました。ここが那智の滝のある飛瀧神社の入口です。ちなみに、杖の返却ボックスがこのバス停「那智の滝前」のところにありますが、那智の滝から戻って来る道が上り坂なので、那智の滝にはこのまま杖を持っていったほうがいいと思います。

飛瀧神社の入口

鳥居をくぐって飛瀧神社の参道を進んで行くと、ここも杉木立に囲まれた石畳の山道で、神聖な雰囲気を感じます。ここも熊野古道の一部だろうと思われます。そして長い階段を下りて行くと那智の滝の滝壺の近くに着き、拝所がありました。ここでひとまず参拝。さすがは那智の滝、日本三名瀑のひとつ。迫力がすごいです。

那智の滝の迫力

飛瀧神社のお滝拝所は参入料300円かかりますが、折角なのでお滝拝所に入って那智の滝の近くまで行きました。那智の滝のすぐそばにあるテラス「お滝拝所舞台」という場所にまで行けました。さきほどの鳥居のある拝所よりも至近距離にあり、いっそう迫力を感じることのでき、心が浄化されるような場所でした。

お滝拝所舞台からの那智の滝

たしかに参入料300円以上の価値はありました。お滝拝所からの出口は飛瀧神社の授与所になっています。ここで飛瀧神社の御朱印などを頂きました。お参りをひととおり終え、飛瀧神社を出たのが15:30過ぎくらいでした。

それからさきほどのバス停「那智の滝前」まで歩いて到着したのが15:40頃。杖を返却した後、バスが来るまで少し時間があったのでお土産物屋を見物し、那智の滝前16:29発の31系統「紀伊勝浦駅方面行き」に乗車、紀伊勝浦駅に16:53に到着しました(運賃は現金またはペイペイ払いで630円)。

復路も「新幹線+特急南紀号」を利用

東京への復路は、紀伊勝浦17:11発の特急南紀8号に乗車して名古屋20:49着。ここで名古屋21:06発の新幹線のぞみ262号に乗り継いで、東京駅22:42着。その日のうちに無事に東京へ戻れました。なお、夕食のお弁当は、紀伊勝浦駅構内の売店で「鮪素停育(鮪ステーキ)弁当」を買うのがおすすめです。特急南紀8号の車内で食べましたが、結構おいしかったです。

東京を早朝に出発して深夜に戻るという強行軍でしたが、東京から日帰りで熊野古道を味わうことができました。大門坂―熊野那智大社コースだけの観光・参拝ではありましたが、熊野古道を代表する内容だったように思います。現地での時間は4時間以上ありましたので、あまりゆっくりはできませんでしたが、それほど忙しすぎる内容でもなく、初心者でも十分楽しめる旅でありました。

まとめ:熊野古道の初心者向け日帰りモデルコースの詳細ガイド

本記事の内容をまとめると次の通りです。

  • 熊野古道は「紀伊山地の霊場と参詣道」として世界遺産に登録されている
  • 熊野古道には「大辺路」「中辺路」「小辺路」など複数のルートがある
  • 熊野古道を車なしで日帰りできる初心者向けのコースがある
  • 日帰りモデルコースは三軒茶屋―熊野本宮大社コースと大門坂―熊野那智大社コースである
  • 最もおすすめの日帰りモデルコースは大門坂―熊野那智大社コースである
  • 大門坂―熊野那智大社コースの所要時間は4時間である
  • 大門坂―熊野那智大社コースは、大阪や名古屋からはもちろん、東京からも日帰りできる
  • 熊野古道の1泊2日モデルコースなら熊野三山をすべて参拝できる
  • 熊野古道の2泊3日モデルコースなら熊野三山の参拝に加えて「川の熊野古道」も体験できる
  • 大門坂―熊野那智大社コースは自分にあったペースで歩くことが重要である
  • 熊野古道を歩く場合は、歩きやすい靴を履き、水分補給を忘れないことが重要である