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成田空港の滑走路すぐそばにある「東峰神社」。最近では、飛行機の撮影スポットなどとしてブログ記事や動画などでも紹介されているので、その存在はご存知の方も多いかもしれません。しかし、この東峰神社は、訪問前に必ず押さえるべき独特の歴史的背景を持つ場所でもあります。また、東峰神社は成田空港の滑走路に極めて近接しているため、警察官による職務質問への備えや、立入禁止区域の把握など、安全面の理解も欠かせません。
本記事では、東峰神社への行き方と、筆者による訪問レビューとを紹介することにより、これから東峰神社に初めて訪問してみようとされる方にもわかりやすく丁寧に解説し、東峰神社への訪問に必要な情報をまとめて網羅的に紹介します。
- 本記事で説明するポイント
- ・東峰神社の歴史的背景と成田闘争における位置付け
・境内の現況や見どころを具体的に把握し、撮影の魅力を知ること
・路線バス、車・オートバイなどによる行き方
・職務質問や安全面での注意点
東峰神社の歴史的背景と行き方

ここでは、東峰神社が成田空港滑走路横の現在の位置に残された理由、航空神社との関係、そして地域史の中でどのような位置付けを持っているのかなどの歴史的背景を詳しく整理します。東峰地区の形成史や成田空港建設の過程と密接に結びついているため、訪問者がこの歴史的背景を理解しておくことで、東峰神社境内で目にする鳥居・狛犬・石碑の一つひとつに意味があることが分かります。
【参考資料】国土交通省 国土地理院「成田国際空港の建設経緯」: 戦後の航空需要の増加と国際空港整備の背景が一次資料として確認できます。
東峰神社の来歴
東峰神社の起源は、昭和12年(1937年)に千葉郡津田沼町(現習志野市)鷺沼の伊藤飛行機製作所の工場敷地内にあった邸内社で、空難者を祀るために同製作所の創設者である伊藤音次郎氏により建立されました。そのときの神社名は「航空神社」でした。
戦後、GHQにより航空機事業が禁止されることにより、伊藤氏は製作所の従業員と共に成田市東峰地区に入植して農場主になるとともに、昭和28年(1953年)には航空神社も当地に移設遷座され、その際に名前が「東峰神社」と改められました。更に、新たに神奈川県の二宮神社から勤労の神とされる二宮尊徳を授かり、この神社の主祭神として現在に至っています。
集落の産土神社から成田闘争の象徴
伊藤氏らが入植した成田市東峰地区は、戦後開拓により農地開発が行われた地域であり、その当時、付近に神社がなかったため、東峰神社は開拓集落の産土神社となり、東峰地区住民から信仰されるようになりました。
しかし、1960年代後半になり新東京国際空港の建設が成田市三里塚の地に決まると、地元住民らによる反対運動が激化し、新左翼グループの支援も得て、いわゆる成田三里塚闘争が始まりました。現在、以前のような激しさはありませんが、成田闘争は継続中だと聞いています。
東峰神社については、2001年に、神社敷地の所有権の問題や、境内にある樹木の伐採の問題で空港側と地元住民との間で紛争が生じ、裁判闘争に発展しました。結局、2003年に地元住民側が所有権を回復するという内容の和解で終了し、実質、地元住民側の勝利となったことから、東峰神社は成田闘争の象徴となっているようです。
現在の東峰神社境内に漂う独特の雰囲気は、単に空港の近さゆえではなく、こうした長い歴史の積み重ねによって形づくられているのです。訪問者の中には、「鳥居を背に巨大なフェンスと監視カメラが並び、滑走路が目前に広がる」という非日常的な光景に驚く人も多いです。
しかし、その環境は成田闘争の延長線上にある空港の土地利用と保安体制の結果であり、境内の配置や参道の変形、アクセス道路の制限などにもその影響が色濃く残っています。
ポイント: 成田闘争の背景を理解してから現地を歩くと、境内にある石碑やフェンス、地形のわずかな変化にまで歴史が染み込んで見えてきます。
航空科学博物館への遷座

東峰神社のうち、もともと伊藤音次郎氏が「航空神社」としてお祀りしていた祭神については、伊藤氏のご遺族の要請により2001年に、成田空港の南隣にある航空科学博物館(野外展示場にある小さな祠)へ遷座しました。つまり現在、東峰神社に残された祭神は、二宮尊徳だけということになります。
航空機を愛した伊藤音次郎氏の思いとは裏腹に、もと航空神社である東峰神社が成田闘争の象徴となってしまったのですから、伊藤氏のご遺族のお気持ちはよく理解できる気がします。
東峰神社への行き方
東峰神社は観光スポットではありません。現在でも成田闘争の最前線であることには違いありません。以前よく言われていたように、警察官から職務質問されるということは、ほとんど無いようですし、紛争や事件に巻き込まれるとか、そういったリスクも少ないとは思いますが、立入禁止区域があったり人気の無い場所があったりと、いろいろな意味で緊張感のある場所という認識はもっておいたほうがいいでしょう。
路線バスを利用する行き方
東峰神社への行き方として、路線バスを利用する方法があります。成田市のコミュニティバスを利用する場合は、「京成成田駅東口」バス停から「津富浦ルート」のバスに乗り、10個目の「東峰」バス停で下車します。所要時間は約20分で運賃は大人200円です。一日3往復しかありませんが、比較的利用しやすい時間帯に運行しています。
コミュニティバスの「東峰」バス停の場所は下の地図のとおりで、ここから東峰神社までは200mほどの距離で、徒歩1~2分となります。
注意点としては、コミュニティバスの本数が少ないですので、予め時刻表で時間を確認して、スケジュールを組んでから現地へ向かうことをおすすめします。また、後述するタクシーと組み合わせて利用するプランも検討する価値があるでしょう。
タクシーを利用する行き方
東峰神社への行き方として、タクシーを利用する方法もあります。成田空港第2ターミナルからならタクシーで4~5kmで10分程度です。帰りは流しのタクシーが走っていないので、配車アプリでタクシーを呼び出す必要があります。あるいは、行きはタクシーを利用して、帰りは路線バスという方法でもいいと思います。
車やオートバイ・自転車での行き方
東峰神社への行き方として、車やバイクを利用する方法もあります。東峰神社のすぐ前まで車道(参道)があるので、車やバイクで現地まで行くこと自体は可能ですが、後述するとおり神社前に車を止める専用の駐車スペースはありませんので、筆者としては車で行くのはあまりおすすめできません。一方、オートバイや自転車であれば神社付近に一時駐輪するスペースはあります。なお、自転車が走行するには危険と思われる車道を通らなければなりませんので、自転車でのアクセスも筆者としてはあまりおすすめできません。
走行ルートと注意点
車やオートバイで東峰神社へ向かう際には、成田空港周辺の複雑な道路構造を理解しておくことが必要です。最も一般的なルートは国道295号線を経由し、空港北側に広がる農地地帯へ入る道を使う方法です。ただし、周辺には似た形の細道が多く、誤った道へ進むと空港関連施設のゲートや行き止まりに出てしまうことがあります。目的地周辺では道幅が急に狭くなるため、車の場合は対向車に注意しながら低速走行を心がけましょう。また、初回訪問時は日中の明るい時間帯を選ぶことで、安全性と視認性が大きく向上します。
駐車場の問題
東峰神社には明確に整備された専用駐車場が存在しないため、車の場合は境内横の空きスペースを利用する形になります。ただし、このスペースは正式な駐車場として案内されているわけではなく、台数もごく限られているため、長時間の滞在や混雑時の駐車は避けることが望ましいです。また、周辺は農地が多く、私有地が入り組んでいるため、空いている場所に勝手に駐車するとトラブルになる可能性があります。車を停める際には、通行の妨げとならない位置を選び、エンジン音やドアの開閉音なども周囲に配慮すべきです。さらに、夜間は視界が悪く周囲が静まり返るため、防犯面の観点からも日中の訪問を推奨します。無理な路上駐車を行わず、短時間での参拝を意識することで、安全に訪問できます。
ナビで迷いやすいポイントと回避策
成田空港周辺は複雑な道路構造をしているうえ、空港管理区域による通行規制が随所にあるため、カーナビが誤ったルートを案内してしまうケースが少なくありません。特に、フェンス沿いの管理道路や進入禁止の細道を「最短ルート」と判断して案内してしまう誤作動が起きやすく、結果としてゲート前に出てしまい、引き返す羽目になる事例が多くあります。そのため、目的地設定を「東峰神社」単体にするのではなく、「東峰区民会館」「東峰共同利用施設」などの周辺施設に指定する方が精度が安定します。さらに、現地に近づいたら案内表示よりも実際の道路標識を優先し、細道へ勝手に入らないことが重要です。初めての訪問では、あらかじめ地図アプリで全体の地形を把握しておくと迷うリスクを大きく減らせます。
空港周辺道路の交通規制
東峰神社周辺は空港敷地に隣接しているため、時期や情勢によって交通規制が変わる可能性があります。通常時は特別な通行止めはありませんが、空港の運用や周辺工事、警備強化期間などが重なると、一部の道路が片側通行や一時的な封鎖が実施される場合があります。特に空港北側エリアでは、工事車両が頻繁に出入りするため、道幅の狭い区間で渋滞や誘導が発生することもあります。訪問前には成田市や空港関連の公式情報を確認し、最新の規制状況を把握しておくと安心です。道路の制限速度が低めに設定されている場所も多いため、速度違反にも注意しましょう。安全運転と事前情報のチェックが、スムーズな訪問への鍵となります。
東峰神社の訪問レビューと注意事項

続いてここでは、筆者による東峰神社訪問レビューを紹介し、撮影スポットとしての魅力とマナー、職務質問・身分証についての備え、立ち入りできる場所・できない場所の基準について解説することで東峰神社の訪問時に知っておくべき注意事項を理解します。
筆者による東峰神社訪問レビュー
筆者はオートバイで東峰神社を訪問しました。iPhoneのアプリ「マップ」をナビがわりに経路設定したところ、東峰神社を目的地にすると、何故か空港ターミナルに誘導されてしまい随分迷ってしまいました。YahooカーナビやGoogleマップでは正しく案内されるようでしたので、スマホのナビを使うなら、YahooカーナビかGoogleマップにしたほうがいいでしょう。
両側に白いフェンスの参道

東京からオートバイで成田空港経由で、そこからナビで何度も迷いながら東峰神社近くへ接近。コミュニティバスの「東峰」バス停が見えました。道路は対向2車線でまあまあ交通量のある道路です。ここは成田空港を挟んだ東西地域を結ぶ道路になっており、両側には空港の敷地との間を隔てる背の高い金網や鉄板のフェンスが重苦しい雰囲気を醸し出していました。
「東峰」バス停の少し先にはT字路となる形で細い道路が北へ伸びており、その入口には「東峰神社 この先行止まり」という白地に黒い無機質な文字で書かれた看板があります。ここを入っていくと東峰神社です。つまり東峰神社の参道となるわけです。参道の道幅は、車1台がやっと通れるほどの広さで、その両側は背の高い白い鉄板によるフェンスで囲まれています。威圧感というか、何か異世界に向かう道のような不思議な感覚です。
取り残された空間の境内

東峰神社と示された方向に進んで行くと、少し開けた空間が現れて、白い石の鳥居や樹木が見えて来ました。鳥居には「東峰神社」の名前が見えます。やっと東峰神社の境内に到着です。
離着陸する旅客機の轟音の合間に訪れる静寂には、小鳥の声も聞こえ、のどかな田舎の小さな神社そのものです。きっとこれが本来の東峰神社の姿だったのでしょう。この空間だけが時間が止まって取り残されたような、そんな気がしました。
航空神社の名残と壊された狛犬

鳥居の手前には「東峰神社」という社号標がありました。この裏側を見ると「航空神社」という文字がセメントで埋められた状態になっています。もとは「航空神社」の社号標であったものを、社号変更の際に裏返して「東峰神社」の文字を刻んだということなのでしょう。

鳥居に刻まれた文字を確認してみると「二〇〇五年一月吉日」とあったので、最近建て替えられたもののようです。見た感じも新しくて、しっかりした造りでした。

鳥居の先には一対の狛犬がありました。上の写真の右の阿形の狛犬は多少すり減った感じはありますが保存状態は悪くない感じです。

ところが、上の写真の左の吽形の狛犬は跡形もなく壊されていて台座のみが残った状態。これは、ちょっと可哀そうな気がしました。右の狛犬と比べると単に老朽化だけでなく成田闘争が関係しているのではと考えてしまいました。

狛犬の側方には石の手水舎がありましたが、現在は使われておらず、水は入っていませんでした。

手水舎の横には「皇紀二千六百年記念」の石碑がありました。皇紀二千六百年は1940年ですから、この東峰地区に移る前からのもののようです。
小さな祠にお参り

狛犬の先には一対の石灯篭があり、その先に小さな木造の祠があります。祠の前にはペットボトルの飲み物がたくさんお供えされていました。最近にも多くの人が訪れているようです。小さいながらも賽銭箱もありましたので、ここでお賽銭を納めてお参りをしました。
ポイント: 訪問時には鳥居・石碑・参道の形状・狛犬の状態など「当たり前ではない部分」に注目することで、歴史を読み解く体験が深まります。
撮影スポットとしての魅力とマナー
東峰神社は飛行機写真を撮影する愛好家の間ではよく知られたスポットで、特に着陸機が神社のすぐ上を通過するタイミングは迫力満点です。滑走路が至近距離にあるため、広角レンズでの撮影では機体と鳥居が同一フレームに収まるという珍しい構図が得られます。
また、季節や時間帯によって光の角度が変化するため、日の出・夕暮れ時に訪れるとドラマチックな写真が撮れることもあり、SNSなどでも非常に人気となっています。
しかし、撮影に夢中になるあまり周囲への配慮を欠く行動は厳禁です。特に三脚を長時間据え置く行為は、境内が狭い点も相まって他の訪問者の通行を妨げる場合があります。また、空港保安区域のフェンスや監視設備を不自然に接写する行為は誤解を招きかねません。撮影目的で訪れる場合は、参拝者・地元住民・空港関係者への配慮を忘れず、機材の占有範囲を最小限にして節度ある行動を心がけてください。
注意: フェンスの向こう側や立入禁止区域を撮影する行為は、誤解やトラブルの原因になります。安全とマナーを最優先にしてください。
職務質問・身分証についての備え
東峰神社付近は空港保安や敷地管理の都合で巡回や監視が行われやすく、最近ではそれほど多くはないものの、過去に職務質問を受けた報告が散見されるため、訪問時には事前準備が不可欠です。まず携行すべきは公的身分証明書(運転免許証、パスポート、健康保険証など)で、提示を求められた際にすぐに取り出せる位置に入れておくと慌てずに済みます。
職務質問に遭遇した場合は落ち着いて対応することが肝要で、第一に挨拶と礼節を忘れない、第二に訪問目的を簡潔に説明する、第三に不審な行動を避けることが基本的な対処法です。具体的には「観光で参拝に来た」「撮影のために短時間滞在する」といった明確で短い説明を用意しておくと良いでしょう。さらに、撮影機材を携行している場合は機材の用途を明確に伝えると誤解が生じにくくなります。
万が一、警備担当者や警察官から詳しい質問があった場合は、丁寧に協力を申し出つつ、自分の連絡先や滞在予定を伝えることで信頼感が高まります。加えて、夜間の訪問は避ける、立入禁止表示に従う、プライベートエリアや空港関連施設に近づかないといった基本的ルールを徹底することが重要です。これらの準備を怠らなければ、職務質問は短時間で終了し、穏やかな参拝や撮影に戻れるケースが大多数です。訪問前には念のため最新の地域情報や交通規制を確認し、非常時の対応(連絡先を控える、現地での避難経路を把握するなど)も検討しておくと安心です。
立ち入りできる場所・できない場所の基準

東峰神社周辺には立入可能エリアと制限エリアが混在しているため、訪問前にその境界を理解しておくことが必須です。特に空港敷地に近いポイントには「関係者以外立入禁止」「監視中」などの掲示が設置されており、これらの標識がある場所はたとえ開いていても立ち入らないことが重要です。
参道から外れた細道や、フェンス沿いに続く管理道路は関係者用である場合が多く、見た目だけでは判断が難しいケースもあります。訪問者がよく誤解する例として、フェンス添いの未舗装道が「散策路」と誤認されるケースがありますが、これは空港管理上の安全確保を目的とした作業路であり、立ち入りは推奨されません。
また、農地や作業用通路は地元住民の生活の場であるため、無断侵入すると迷惑行為に該当します。東峰神社の境内そのものは自由に参拝できますが、フェンスや機材跡などを間近で見ようとして境界を越えることのないよう、常に周囲の表示を確認して行動することが大切です。
まとめ:成田空港滑走路横「東峰神社」の行き方と訪問レビュー
東峰神社は、成田空港の歴史や地域の歩みが凝縮された特別な神社であり、アクセスの難しさや独特の雰囲気も含めて、訪問者に強い印象を残します。行き方についてはコミュニティバスやタクシーの利用がおすすめですが、車やオートバイでも訪問は可能です。車やオートバイを運転する場合は、周辺道路の複雑さを理解しながら慎重に進むことが重要です。
東峰神社の訪問時には、警備の存在やマナーを意識しつつ、空港と共存する地域の歴史を尊重する姿勢が求められます。訪れる前に十分な下調べを行えば、安全で意義深い体験となるでしょう。本記事の東峰神社への訪問レビューと行き方や注意事項を踏まえて準備すれば、スムーズで安心な訪問に役立つはずです。
最後に、東峰神社を訪れる際には、歴史的背景や地域住民の想いを尊重しながら、無理のない計画を立てることが大切です。空港という特殊な環境の中に存在する神社であるため、一般的な参拝とは異なる注意点が多くありますが、事前に知識を得ておけば心に残る深い体験となります。