もとは神社だった?台北「圓山大飯店/THE GRAND HOTEL」歴史の謎を検証

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もとは神社だった?台北「圓山大飯店/THE GRAND HOTEL」歴史の謎を検証

台北の圓山大飯店/THE GRAND HOTEL(または、「円山大飯店」とも表記)とは、台湾の台北市にある老舗の5つ星ホテルです。赤を基調とした中国宮殿風の建築物からなり、その姿はとてもインパクトがあります。台北でホテルを探したことのある方なら、その写真を一度は目にしたことがあるのではないでしょうか。

ところで、この圓山大飯店は、日本統治時代に建立されていた「台湾神宮」という神社の跡地に建設されたということなのです。本記事では、「もとは神社だった?」ともいわれる「圓山大飯店/THE GRAND HOTEL(円山大飯店)」の歴史に興味のある方のために、筆者が実際に圓山大飯店で宿泊したレビューをもとにその歴史の謎に迫ってみたいと思います。

もとは神社だった?圓山大飯店の歴史について

圓山大飯店の正面ゲート

まずは、「もとは神社だった?」といわれる圓山大飯店の歴史、圓山大飯店へのアクセス方法、史跡としての見どころについて紹介することにします。

圓山大飯店/THE GRAND HOTEL:公式サイト

圓山大飯店の歴史

圓山大飯店の公式サイトによると、以下のように紹介されています。

圓山大飯店は1952年に蒋介石夫人である宋美齡氏が建てた、台湾第1号の5つ星ホテルです。当ホテルは圓山の中腹に高く聳え、前方は基隆河、後方は陽明山、東は松山、西は淡水が一望できます。14階建て中国宮殿様式の本館は、赤い柱と金の瓦の堂々たる優雅な外観、豪華絢爛でクラシカルな雰囲気がオリエンタルな芸術的美しさを際立たせており、台北市を代表するランドマークの1つです。

一方、ウィキペディアの「円山大飯店」を調べてみると、「円山大飯店は日本統治時代に剣潭山に建立されていた台湾神宮の跡地を利用して建設された。」と記載されています。そしてさらに、ウィキペディアの「台湾神宮」を調べてみると、日本統治下の1901年(明治34年)、台北の剣潭山、現在の台北圓山大飯店がある場所に、官幣大社として「台湾神社」が建立され、1944年(昭和19年)には「台湾神宮」と改称された。そして、終戦後、台湾神宮は廃止され、その跡地には「台湾大飯店」というホテルが建設されたが、1952年には中国宮殿風の建物に改築されて現在の円山大飯店となった。といった内容が記されていました。

要するに、「圓山大飯店」は1952年に蒋介石夫人である宋美齡氏が「台湾大飯店」というホテルを改築して作ったものであり、「台湾大飯店」は、終戦後に台湾神宮が廃止された跡地を利用して建設されたホテルであったということです。つまり、圓山大飯店は「もとは神社だった」というのは正確な表現ではなく、正確には、圓山大飯店の場所が「もとは神社の場所だった」ということなのです。

圓山大飯店へのアクセス方法

圓山大飯店の歴史の謎は神社の跡地であったというそのロケーションに関係しています。まずは、圓山大飯店へのアクセス方法について説明をします。

圓山大飯店へのアクセスについては、最もオーソドックスな方法は、MRT赤色ライン(淡水信義線)を利用して台北駅から4つ目の「圓山駅」または5つ目の「剣潭駅」で下車し、そこから徒歩(剣潭駅下車の場合)、無料送迎バス、またはタクシーにより圓山大飯店へ行く方法となります。以下、それぞれを説明します。

なお、桃園国際空港からは大有バス「1961番」が圓山大飯店まで行ってくれますので便利です。第1ターミナルでは入国ロビーB1バス乗り場から、第2ターミナルでは入国ロビー1F東北側出口バス乗り場から乗車できます(料金はNT$105)。

剣潭駅から徒歩で

圓山大飯店のロケーションは台北市を流れる基隆河の北岸にあたります。基隆河の南岸の圓山駅と、基隆河を渡った北岸の剣潭駅との中間あたりになります。距離的には剣潭駅から900mほど離れた場所にあるため、徒歩なら10分程度かかります。圓山大飯店の場所は剣潭山という小高い山になっていて、周囲は剣潭公園というハイキングするような自然公園でもあります。ですので、徒歩で圓山大飯店に行く場合には、ちょっとした山登りのような道になります。

まず、剣潭駅を東側に出ると目の前に「中山北路」という片側3車線くらいあるとても大きな道路があります。この道路に向かって右手方向(南方向)に歩いて行きます。中山北路に沿って400mほど歩くと、道路の反対側に渡ることのできる地下道があります。地下道で道路を渡ると、すぐそばに「福正宮」という道教の寺院があります。この寺院の前を通ってさらに100mほど中山北路に沿って南に進むと、石段の両側に一対の狛犬が設置された「剣潭公園」の入口が見つかると思います。後述しますが、この一対の狛犬はかつて台湾神宮に設けられていた狛犬が移設されたものです。

公園入口の狛犬

剣潭公園の入口を入って行くと、「圓山大飯店」の表示があるので、それに従って進んで行けば5分ほどで圓山大飯店の西側脇の道に出ることができます。そこから正面玄関にまわって入館できます。なお、距離的には300mほどですが、坂道あり、階段ありと、ちょっとした山登りになります。

圓山駅または剣潭駅から無料送迎バス・タクシーで

圓山大飯店からは、圓山駅と剣潭駅に無料送迎バスが出ていますので、それを利用すれば便利です。こちらのページに時刻表や乗り場の案内が出ています。剣潭駅よりも圓山駅のほうが本数も多いので使い勝手が良さそうです。ちなみに、剣潭駅からの無料送迎バスは、剣潭駅が士林夜市に近いこともあり、圓山大飯店の宿泊客が夕方に士林夜市に出かける際に主に利用されているようです。

無料送迎バスは、20席ほどの座席がある小型のバスです。立っている人のための吊革もあるので、30人くらいまでは乗車できます。よほど混雑する時期でない限りは、乗車しきれずに次の便を待つということはないのではと思います。また、乗車できるのは宿泊客に限定されず、圓山大飯店のレストランやショッピングを利用するだけの人でも乗車できます。宿泊は他のホテルだけれど、圓山大飯店を見物しに行きたいという人も利用できます(その場合でも、レストランやショッピングは利用するようにしましょう。)。

不運にも無料送迎バスが満員で乗車できなかったとか、つぎの便までの待ち時間が長いような場合には、圓山駅や剣潭駅からタクシーで圓山大飯店に行くことも可能です。料金もNT$150程度で済むと思います。

おすすめのアクセス方法は?

剣潭公園の入口にある一対の狛犬は必見ですので、圓山大飯店と剣潭駅との間の徒歩ルートは、一度は通っていただきたいです。しかし、圓山大飯店へ向かう登り道はキツイので、大きな荷物を持っていくのは避けた方がいいでしょう。とすると、圓山大飯店に行くときは無料送迎バス(タクシーあるいは空港からのバス)を利用し、帰りは下りの徒歩ルートで剣潭駅へ向かうのが最もおすすめです。圓山大飯店で宿泊する場合は、チェックインした後、荷物を置いて市内へ外出する際に剣潭駅まで徒歩ルートを利用してみるといいでしょう。

史跡としての圓山大飯店の見どころ

圓山大飯店は台湾を代表する5つ星の老舗ホテルとしては言うまでもなく、たくさんの見どころがありますが、ここでは「もとは神社だった?」という点に関連した史跡としての圓山大飯店の見どころについて、いくつかご紹介してみたいと思います。

剣潭公園の入口にある一対の狛犬

上で説明した圓山大飯店と剣潭駅との間の徒歩ルート上にある、中山北路に面した剣潭公園入口の石段の両側に鎮座する一対の狛犬。もともと台湾神宮の境内にあったものが、戦後この位置に移設されたものです。台湾では何かの入口の両脇に狛犬を設置する文化があるようですが、神社の狛犬が今は公園の入口を守っているということです。

圓山大飯店の前庭にある一対の狛犬

圓山大飯店の正面ゲートから入ると広い前庭があり、そこに一対の狛犬が鎮座しています。圓山大飯店側の説明によると、台湾の板橋に住む林さん(日本人じゃないと思う)という方が台湾神社の建立を祝って奉納した狛犬だそうです。こちらも神社の狛犬が今では圓山大飯店を守っているということです。

圓山大飯店の館内にある百年金龍

圓山大飯店の館内2階の通路上に鎮座している百年金龍。龍の口から水を吹き出すもので、これも台湾神宮にあったものだそうです。日本の神社ではよく手水舎で龍の口から水が出るのを見かけますが、百年金龍は斜め上方に噴水のように水を吹き出しているので、手水舎として利用されていたものではなさそうです。

昔、日本軍機が台湾神宮に墜落して大火災があったそうなのですが、その際にもこの百年金龍は無事で生き残ったとのことです。とても縁起のよい龍です。ちなみに、もとは銅製の龍でしたが、80年代に金メッキを施し、銅龍から金龍へ進化しているとのことです。

地下トンネル

圓山大飯店の地下トンネル
引用:圓山大飯店

圓山大飯店の地下1階西側から剣潭公園側に抜ける地下トンネルがあります。これは台湾神宮とは関係無いのですが、圓山大飯店の改築時に有事の際の避難脱出用として設けられたようです。ツアー参加が必要ですが、一般客にも開放されています。圓山大飯店のフロントでツアーの申し込みを行います(大人NT$250)。

写真ギャラリー

圓山大飯店の館内2階、百年金龍に通じる通路に写真ギャラリーが設けられています。台湾神宮から始まり、近年に至るまでの、圓山大飯店の歴史が写真とともに展示されています。

歴史の謎を検証:圓山大飯店の宿泊レビュー

筆者は「もとは神社だった?」といわれる圓山大飯店の歴史の謎を検証すべく、2020年2月に台湾に赴き圓山大飯店に宿泊しました。ホテルの予約は、楽天トラベル(「キーワードから探す」で「海外ホテル」にチェックをし「円山大飯店」と入力して検索)でしました。

徒歩ルートで圓山大飯店へ

私は、徒歩ルートがそれほど険しい道だとは知らなかったことと、剣潭公園の入口にある一対の狛犬を早く見たいという思いで、チェックインする前に剣潭駅からの徒歩ルートを選んでしまいました。途中、中山北路を渡る地下道に階段がありましたが、剣潭公園入口のところまではほぼ平坦な道なので、スーツケースを携えての移動でも難なく到達。

そして、念願の狛犬との対面です。100年経っているにしては造形もまだまだしっかりしており、なかなか立派な狛犬です。やはり台湾風の狛犬とは形が全然違いますね。残念ながら、この狛犬の奉納者や建立年度などの刻印は見つかりませんでしたが、今は亡き台湾神宮にあったというのは感慨深いものです。

ところで、面白いことにこの狛犬は「阿吽」が逆に配置されていました。日本の狛犬は、向かって右が口を開けた「阿」形、向かって左が口を閉じた「吽」形となりますが、ここの狛犬は向かって右が口を閉じ、向かって左が口を開けています。台湾神宮から移設される際に、日本の狛犬の阿吽をよくわかっていない人が逆に設置してしまったのかも知れません。

狛犬の見物を終え、剣潭公園に入ると、「圓山大飯店」の標識に従って進んで行きます。ここからがが坂道や階段ばかりで、しかも人がやっとすれ違えるくらいの道幅で、正直、大変でした。上でもご説明しましたが、大きな荷物を携えての移動にはこのルートを選ぶべきではありません。悪戦苦闘して登り道を登りきると、圓山大飯店の敷地内、建物西側の駐車場などがあるところに出てきました。

圓山大飯店にチェックイン

圓山大飯店にチェックインしてお部屋へ移動。今回は一番安いスタンダードタイプのお部屋を予約しました。安いのには理由があります。窓がありません。圓山大飯店の客室フロアは東西南北の建物外壁に沿って客室が並んでおり、さらに客室フロア中央部には外壁には接しない客室のブロックが設けられています。外壁に沿った客室は窓があって値段が高く、客室フロア中央部は窓が無くて値段が安いという設定です。

窓無しの部屋ということは予約時にわかっていました。でも、廊下などから建物の外を眺望できる場所はどこかにあるはずだ、と安易に考えていたのですが、それは間違いであると後になってわかりました。客室のある高層階フロアの共用部分には、外を眺望できる窓が全くありません。圓山大飯店内のレストランなどは1階や2階の低層階にあり、確かにホテルの立地が剣潭山という一段高いところなので、ある程度の眺望もありますが、客室からの眺望にはかなわないでしょう。夜景を楽しみたいのであれば、少し無理してでも窓のある部屋を予約すべきでしょう。

圓山大飯店をいろいろ探索

少し休んでからホテル内の探索を始めました。まずは、1階の玄関から前庭に出ました。圓山大飯店の全景はとてもインパクトがあります。中国宮殿風の建築だそうですが、赤い柱を多用した造りは、どことなく日本の神社をも連想させる姿です。もしかして、もと神社であったことを意識してデザインされたのでは、とも思ってしまいました。

前庭の先、正面ゲートに近い位置を見てみると、「林家石獅子」という一対の狛犬が見つかりました。この狛犬も台湾神宮にあったものだそうです。台湾の林さんが奉納されたから、台湾風の狛犬なのですね。こちらも奉納者や建立年の刻印は見つかりませんでした。

石材の材質の違いなのか、剣潭公園入口の狛犬と比べると随分風化が進んでいるようで、ところどころセメントで修復した跡がみられました。日本でも狛犬は文化財としての認識が薄いのか、古い狛犬の保存はなかなか進んでいないようですが、できることなら古い狛犬は末永く修復保存していってもらいたいものです。

前庭から再び館内に戻り「百年金龍」を見に行きます。1階玄関ロビーの奥の階段を上り、右でも左でもいいのですが、その階段のちょうど背後に回った先に百年金龍があります。途中の通路は写真ギャラリーとなっており、両側の壁にたくさんの写真が展示されています。台湾神社からはじまり現在に至るまでの圓山大飯店の歴史を知ることができますので、百年金龍を見に行く際には、ここもあわせてチェックしてください。

写真ギャラリーの先に百年金龍があります。丸い池のような土台に岩山があって、そこに金龍が巻き付いているような造形です。岩山の頂上から金龍が口を斜め上方に向けていて、その口から水を吹き出しています。ちょうど周囲には人がいなかったこともあり、静まり返った中で、金龍から吹き出す水の音だけがちょろちょろと聞こえていました。見た目も神々しいですし、見ていて心が穏やかになるのを感じました。パワースポットと言われるだけあります。

百年金龍の先は出入口となっており、そこから外に出ると圓山大飯店の裏手に別館があります。その別館の1階にはファミリーマートがありますので、市内のコンビニと同じ物価で飲み物やお菓子、そしてお弁当などを調達できます。また、ファミポートも1台ありますので、台鉄のチケットを発券するなどもここで出来るので便利です。

なお、圓山大飯店での探索の最後に「地下トンネルツアー」に参加したいと思っていたのですが、希望した時間帯での参加ができず、今回はあきらめることとなりました。せめて入口だけでも見たいと思い、行ってみました。場所は、1階の松鶴レストランの前を通って建物の西端に行き、そこから階段で地下1階に降りると、すぐ目の前に地下トンネルに続く防火扉が現れます。残念ながら自由に見ることができるのは、そこまででした。

士林夜市へお出かけ

夕食はホテルのレストランがとても高いですので、士林夜市に出かけるのがおすすめです。上で説明した無料送迎バスのバス停が、玄関出てすぐ右手のところにあります。圓山駅行きと剣潭駅行きそれぞれの便について、次は何時何分の発車なのか電光掲示板に出ていて、バスを待つ待機列がありますので、乗車は簡単です。無料送迎バスを利用すれば、士林夜市に気軽に出かけることができます。

翌朝、私は「朝食無し」のプランだったのですが、一食くらいは円山大飯店で食事をしてみたいと思い、1階の松鶴レストランで朝食バイキングを利用することにしました。別途追加料金としてNT$500でした。日本円にして2,000円弱でしょうか。一流ホテルの朝食にしてはお得な値段かと思います。料理の品数は非常に多く、味も大変満足できるものでした。

まとめ:もとは神社だった?台北「圓山大飯店」歴史の謎を検証

以上、本記事をまとめると次のとおりです。

  • 圓山大飯店は、日本統治時代の台湾神宮という神社の跡地に建設されたホテルである
  • もと神社があった痕跡は、屋外にある狛犬、館内にある百年金龍や写真ギャラリーなどから知ることができる
  • 百年金龍はパワースポットとしても人気がある
  • 圓山大飯店と剣潭駅との間を徒歩で行くと公園の入口にある狛犬を見ることができる

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