上海事変・四行倉庫の戦い跡地「四行倉庫抗戦紀念館」を紹介

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上海事変・四行倉庫の戦い跡地「四行倉庫抗戦紀念館」を紹介

日中戦争が本格化するきっかけとなった1937年8月の第二次上海事変。この第二次上海事変における最後の激戦「四行倉庫の戦い」があったのが、現在も中国上海にある四行倉庫です。

本記事では、第二次上海事変での「四行倉庫の戦い」に関心があり、その戦跡を実際に訪ねてみたいと思っている方に向けて、現在も上海で保存されている「四行倉庫」と、その跡地にできた「四行倉庫抗戦紀念館」を、筆者が実際に見学したレビューを交えて詳しく紹介します。

本記事で説明するポイント
・四行倉庫の戦いについての概要
・四行倉庫および四行倉庫抗戦紀念館へのアクセス
・四行倉庫抗戦紀念館の展示内容と営業情報
・四行倉庫抗戦紀念館の見学レビュー

「四行倉庫の戦い」と上海の「四行倉庫」へのアクセス

四行倉庫屋外の広場

四行倉庫は上海市の中心部、蘇州河沿いに現存し、建物の一部外壁等は第二次上海事変当時の姿のまま戦跡として保存されています。また、建物内部は「四行倉庫抗戦紀念館」として当時を物語る資料等が展示されており、一般に無料で開放されています。まずここでは、「四行倉庫の戦い」の概要と上海の「四行倉庫」へのアクセスについて解説いたします。

百度百科: 四行倉庫抗戦紀念館のページ(中国語)

「四行倉庫の戦い」について

上海市の中心を東西に流れ黄浦江につながる蘇州河。上海の租界時代、蘇州河の北側は水上運輸の要地で、河畔には多くの倉庫が建設されました。そのうちの1つである四行倉庫は、その名の通り「四行=4銀行」である、金城銀行、中南銀行、大陸銀行、及び塩業銀行による出資でできた倉庫だったそうです。

租界時代の上海では日本からも多くの居留民と軍人が住んでいました。1937年7月の盧溝橋事件後、中国軍の動きが活発になり、日本人が犠牲になる事件が度々発生したことから、日本側は上海の居留民を保護する目的で派兵を決定。上海で日本軍との決戦を準備していた中国軍と衝突することとなります。これが第二次上海事変のはじまりです。

当初、圧倒的な戦力差により中国軍が優勢でありましたが、日本軍も長崎や台湾からはるばる海を渡って爆撃機を送り、上海の中国軍基地を爆撃するなどにより形勢逆転。ついには、中国軍を退却させることに成功しました。中国軍が上海を退却する際に、中国軍の一部は四行倉庫に立てこもり、日本軍による追撃を食い止めました。そのときの戦闘が「四行倉庫の戦い」と呼ばれています。

四行倉庫の戦いは中国では愛国美談として語り継がれているようです。四行倉庫を守った中国軍の守備隊は「八百壮士」として称えられています。終戦から70年目の2015年、戦跡である四行倉庫は、四行倉庫抗戦紀念館として整備されたそうです。

四行倉庫へのアクセス

下の地図のとおり、最寄り駅は地下鉄8号線・12号線の「曲阜駅」、ここから徒歩5分です。曲阜駅で下車し地上に出て、西藏北路という南北に伸びる大きな通りを南側に向かって歩きます。途中で向かって右側の側道に入るとすぐのところに四行倉庫の建物が見えてきます。(側道に入らず進むと「西藏路橋」という橋に行ってしまいますので、ご注意。)

建物はとても大きく、入口がどこにあるか迷うかもしれません。四行倉庫抗戦紀念館の入口は、建物の南側、「光復路」という細い道路に面した側(蘇州河に面した側)にあります。また、無数の弾丸跡が残る当時の壁面を見ることができるのは、入口から少し離れた場所で、建物の西側です。ここはちょっとした広場になっています。

上海事変の跡地「四行倉庫抗戦紀念館」の紹介

次に、私が実際に上海の「四行倉庫抗戦紀念館」を訪問して見学したときのレビューをもとに、「四行倉庫抗戦紀念館」を紹介します。なお「四行倉庫抗戦紀念館」は、入場無料(もちろん外国人も入場可)、営業時間は9:00から16:30(最終入場16:00)、ただし月曜日は休館(月曜日が中国の祝日にあたる場合は開館)。2025年2月時点では事前予約なしで入館できるようです。

「四行倉庫抗戦紀念館」の見学レビュー

私は金曜日(平日)の午後1時頃に四行倉庫抗戦紀念館に到着し、入館しました。ちょうど入れ替わりで団体さんが帰ったようで、館内は比較的空いていました。私のほかには、社会見学らしき中学生の団体さんが見学していました。入場無料ではあるものの、一般的な観光スポットではありませんから、個人の観光客はほとんどいませんでした。中国人好みのフォトジェニックな演出も特になく、歴史を学習するための施設といった感じでした。なお、館内での写真撮影はOKです。

博物館内部01

館内には、写真や説明パネル、当時の資料などが豊富にありました。ただ、どれも中国語のみで、日本語や英語での説明はありませんでした。ところどころ読み取れる漢字でなんとなく意味を推測する、といった感じになります。中国語がわからない人は、スマホのカメラ翻訳機能は必須です。

博物館内部02

展示の中で最も興味がひかれたのは、人形を使って当時の戦闘の様子を再現したものでした。当時の状況がリアルに再現されており、緊迫感が伝わる内容でした。

博物館内部03

事実に基づいた忠実な再現なのかどうかはわかりませんが、中国軍にとって瀬戸際での戦いであった様子が感じられました。日本軍視点の展示がなかったのは残念ですが、まあそれは仕方がありません。

博物館内部04

1時間程度かけて館内を見学した後、外に出て建物の西側にある四行倉庫の壁面を見に行きました。外壁にはおびただしい数の弾丸跡が生々しく残っていました。当時のままを保存しているのだと思われます。相当な激戦だったことを物語っています。

まとめ:上海事変・四行倉庫の戦い跡地「四行倉庫抗戦紀念館」を紹介

今回ご紹介した四行倉庫は観光地としてはマイナーですが、近代史や日中関係に関心のある方には是非おすすめしたいスポットです。第二次上海事変の戦跡としては唯一のものではないかと思います。

上海市内に宿泊すれば四行倉庫へのアクセスには問題ありません。上海旅行に行かれる際には、観光スケジュールの中に四行倉庫を組み入れてみてはいかがでしょうか?